人との会話や、テレビの音声、救急車のサイレンなど、私たちのまわりにはさまざまな音があふれています。音は情報としてコミュニケーションや知識の獲得、危険の回避などに重要な役割を果たしています。では、音が聞こえない人はどうやってこれらの情報を得ているのでしょう?
手話や筆談だけでなく、最近では音声を認識して字幕にするアプリや音の代わりに光で知らせるチャイムなどさまざまなツールが開発され、聞こえない人の生活をサポートしています。xDiversityプロジェクトでは、「Ontenna(オンテナ)」という新しいツールを、聾学校のみなさんを中心としたユーザーの意見を取り入れながら開発しています。

Ontennaは長さ6.5 cmのクリップ型デバイスで、音の強弱を振動と光の強さに変換します。髪の毛や服の襟元などに挟むことで、音を体で感じることができるのが特徴です。しかし、現状では周囲にあふれるさまざまな音のなかから、自分の子どもの泣き声や時計のアラームなど、身に着けた人が聞きたい特定の音だけを認識することができません。さらに、この聞きたいと思う音は、人によってちがうでしょう。これを解決すると期待されているのがAI技術です。事前にたくさんの音データを学習させることで、特定の音を自動で認識することができます。使う人にあわせて学習させれば、その人が聞きたい音だけを感じることができるようになるでしょう。これは聞こえる人にとっても、例えば、音楽を耳だけでなく体でも感じられるようになり楽しみ方が広がるなど、新たな価値を生むかもしれません。

今回のイベントは、Ontennaの開発者である本多達也さん、AI技術を研究する菅野裕介さん、そしてAIを用いた社会問題解決へのアプローチなどを研究する中尾悠里さんをお招きし、OntennaとAIを組み合わせることで何ができるのかを一緒に考えます。
皆さんは、Ontennaがどんな時に、どんな音が聞きとれたら、どんなことがしてみたいですか? 研究者と一緒に、未来の研究課題を探ってみましょう。

ゲストスピーカー

菅野裕介 の写真

菅野裕介

東京大学 准教授

東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了、博士(情報理工学)。東京大学生産技術研究所准教授。コンピュータビジョン、ヒューマンコンピュータインタラクションに関する研究に従事。

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本多達也

富士通株式会社

2015年 公立はこだて未来大学大学院博士前期課程修了。2016年 富士通株式会社へ入社しOntennaプロジェクトを立ち上げる。2019年 東京都立大学大学院博士後期課程入学。UIデザイナー。

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中尾悠里

株式会社富士通研究所

東京大学大学院総合文化研究科修了。現在は人工知能研究所 トラステッドAIプロジェクトに所属し、AIを用いた社会問題解決や倫理的なAIの研究を行っている。

企画・ファシリテーション

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田中沙紀子

日本科学未来館 科学コミュニケーター

“音を聞くこと”のちがいを乗り越えるテクノロジー(1時間16分)

開催概要

放送日時
2020年7月23日(木・祝) 17:30~18:30
視聴方法
YouTube Live(Miraikan Channel)にてインターネット放送します。
対象
どなたでも視聴可能です。
問い合わせ
日本科学未来館
Tel: 03-3570-9151(代表)

研究エリアについて

未来館に併設されている「研究エリア」には、最先端の研究を進める12のプロジェクトが常駐しています。一般の人々が研究に参画する場として今後さらなる展開を考えています。一緒に未来の研究をつくっていきましょう!
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JST CREST xDiversity について

"できないこと"の壁を取り払い、"できること"をより拡張できたら、本当に個性が活かせる社会になるのではないか。人や環境の「ちがい」をAIとクロスさせ、多くの人々によりそった問題解決の仕組み作りを目指すプロジェクトです。
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