館長

館長

毛利衛

日本科学未来館は、科学技術を「人類の知恵」のひとつ、つまり「文化」のひとつとしてとらえ、語り合う場として2001年に開館しました。一般の人々と専門家がともに科学技術の役割や可能性を考え、一緒に将来社会を描けるように、すべての常設展示を第一線の研究者・技術者とともに作り上げ、表現しています。また、文化としての科学技術をよりよく理解してもらうために、多くの外部組織と協力し連携しながら、さまざまな手法を用いた企画展や特別展を開催しています。

そして、社会の多様な人々と科学技術をつなげ、未来の社会を共に作り上げる科学コミュニケーター人材の養成も重要視しています。科学技術に関する対話の創出、あらゆる立場の人々との館の中にとどまらない協働など、日々の科学コミュニケーション活動の実践を通じて、継続的に人材の育成・輩出を行っています。

さらに、世界の科学館の中でも非常にユニークな存在である研究施設を設けているのも大きな特色です。展示場の廊下を隔てた研究施設では研究者たちが多岐にわたる分野で世界を相手にしのぎを削っている先端研究現場を垣間見ることができます。研究者たちは自身の研究活動を社会に理解してもらうために、当館スタッフと協力してイベントや実証実験、科学コミュニケーション活動も積極的に行っています。

社会環境がめまぐるしく変わるなかで、世界の科学館の役割も急速に変化しています。私たちは科学館におけるグローバルな視点をさらに推進するために、アジア初の世界科学館サミット(SCWS2017)を主催しました。世界中の科学館の代表者、教育関係者、政策関係者、企業関係者らとまとめた、持続可能な未来の実現に向けた科学館の活動方針・行動指針「東京プロトコール(※)」を踏まえて展示活動を展開し、持続可能な社会を創出する役割を世界の科学館とともに担っています。

世界に開かれた科学コミュニケーション拠点として、科学技術の役割を問い続け、あらゆる分野の「知恵」を集めグローバルな人類の将来社会に貢献できるよう活動して行きたいと思います。皆様のさらなるご理解、ご支援をお願い申し上げます。

副館長


副館長

田中正朗

皆さまは、日本科学未来館にどのようなイメージをお持ちでしょうか。多くの方は、「子どもたちが、見たり触ったりして、科学を楽しむ場所です。」とお考えでしょう。でも、未来館は、皆さまのそのような期待とは少し違うところです。もちろん、多くの子どもたちに来てほしいですが、高校生、大学生、さらには大人の方に、もっと来ていただきたいと願っています。

未来館は、科学技術というメガネを通して、未来社会を想像して、今を考える場所です。未来館のスローガンは、「科学がわかる、世界がかわる」です。未来館においでいただくことで、ぜひ、皆さまに、これまで見えていた世界が、違って見えるようになるという体験をしていただきたいと思っています。お待ちしています。


副館長
事業部長

中西忍

これからの時代に必要とされるミュージアムの新たな役割は何でしょうか?後世に残すべき歴史的遺産、文化的遺産を大切に保管し、それらを研究、展示し、そして教育普及することがミュージアムの基本です。しかし、わたしたちはコレクションを持ちません。コレクションがないので、それらを研究する組織もありません。そのかわり、社会と科学技術をつなぐ様々なスキルをもったスタッフが数多く働いています。

未来館が扱うのは、その館名の通り、「科学」と「未来」です。未来館の「展示」とは、科学技術の先端研究に関する展示物や映像コンテンツだけを示すのではなく、科学コミュニケーターを通して、直に研究者の話を聞いたり、実証実験を体験したり、プログラムを通して、多様な人たちとの対話・共創をおこなうための多面的なメディアの総体を示します。つまり、未来館とは、わたしたちが直面する、科学技術が大きく関わる課題や未来について、人と人が語り合い、創造的な未来を議論するためのツールとしての公共施設なのです。

このような志向をもったミュージアムは、科学館に限らず、世界的に見ても大変ユニークな存在であり、従来のミュージアムやアートセンターと比して、その在り方を異にしているところです。しかし、こうした新しいミュージアムの在り方は、社会情勢が刻一刻と変化する現代社会において、市民社会にとって未来を考える重要な役割を担っていると考えています。もうひとつの言い方をするならば、未来館は、社会に関わる様々な人々が参加することで、はじめてその存在理由が生まれます。是非、未来館にお越し頂き、またはインターネットを通じて、わたしたちが発信する「展示」に触れて頂き、一緒に未来について語り合いませんか。

運営アドバイザー


運営アドバイザー

榊裕之

人類は、古くから道具を考案して食物と衣服と住まいを確保し、数百万年の間、生きのびてきました。そうした努力を通じ、金属器を作る方法や物の動きに関する法則などを発見し、それらを基に蒸気機関を作り、鉄道や汽船などを登場させて近代社会を誕生させています。その後に電気の技術と科学を生み出し、続いて光子と電子と原子の本質を解明し、それらを制御することで、新素材・電力・情報通信技術を飛躍的に発展させました。また、20世紀半ばのDNA構造の発見以降、生体の謎の多くも解明され、医学は様変わりしています。

こうした科学・技術の発展により人類の多くは豊かさを享受できるようになりましたが、化石燃料などの資源の枯渇や地球温暖化などの深刻な課題が生じています。また、物や人の移動が容易になった反面、COVID19など感染症の拡大も招き、さらに、インターネットを通じて情報の移動を容易にした反面で、ネットの悪用や依存症などの課題が生じています。

日本科学未来館は、研究の最前線で活躍中の専門家の協力を得て、人類が創意工夫によって築いてきた科学技術の発展の道程を、分かり易く把握できるようにするとともに、今後の科学・技術の進化の方向や可能性を考えるための素材の提供に努めています。また、人類が直面する主要課題を深く認識するための機会も提供し、21世紀をより良い時代とするために私たちはどんな取組みをすべきかを考えるためのヒントを提供しています。

昨今、インターネットにより多くの情報が電子的に得られるようになり、当館もネットによる情報提供を充実させています。しかし、日本科学未来館に足を運び、実際の物に触れ、科学コミュニケータや同伴者たちと対話をしながら科学・技術の理解を深めるとともに、人類の未来を語りあうことで初めて得られるものも少なくありません。是非、当館にお越し頂き、心ゆたかな時を過ごされることを願っています。