2020年2月3日(月)~2月24日(月)に実施したアンケート 「ハロー!AI社会~人工知能で何したい?」 にご協力いただき、ありがとうございました。アンケートの結果を一望できるようにまとめた「マップ」が出来上がりました! 人工知能(AI)に対する皆さんの多様な声を可視化しました。ぜひご覧ください。

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みんなでつくるAIマップ(マップをクリックするとPDFファイルで拡大表示します/920KB)

「みんなでつくるAIマップ」とは?

アンケートでは、AIについてみなさんがどう思っているか、率直な気持ちや声を寄せていただきました。それを集めて、どんな傾向があるのか、どのような期待と不安があるのかを一望できる形にしたのが「みんなでつくるAIマップ」です。 このマップを見ながら、自分の意見と他の人の意見を見比べ、これからますます深まっていくであろうAIと私たちの関係について考えてみてください。
たくさんの情報が入っていますので、おすすめの「マップの楽しみ方」を後ほどご紹介します。

ランキング発表!! アンケートの中で選ばれた人気のテーマは?

アンケートの中では、「選挙」「結婚」「恋愛」「防災」「介護」「子育て」「死後」「職業選択」「医療」という9つの大きなライフイベントや生活シーンのなかから、興味のあるものを3つ選択して質問に答えていただきました。
集計したところ、多くの人に選ばれた人気のテーマがありました。

それは「医療」です。回答者のうち約76%が選択しました。
続いて第2位は「防災」。第3位は「介護」でした。
社会システムにかかわる課題にAIが使われることに対して、期待が高いことがわかります。
この傾向は、回答者の年齢層によらず、10代や20代の若い層でも同じでした。

発見! アンケートからわかったAIへの感情

アンケートを分析した結果、以下のような特徴が見えてきました。

・10代~20代のほうがそれより上の年齢層に比べて、AIを使うことに対して反対意見をもっている人が多かった
・「死後」について聞いた設問では、亡くなった方の言動を忠実に再現するAIを使いたいかを問いましたが、意見が真二つに分かれた。
・その人自身が人間の能力をどこまで高く評価しているかが、AIを使いたいかどうかという考えにダイレクトに反映されていた

そこで、アンケート結果をまとめるにあたり、これらの傾向をみなさんに詳しくご覧いただくため、特に関心の高かった「医療」「防災」、意見が分かれた「恋愛」「死後」の4つのテーマに関する意見をマッピングし、一覧できる図にまとめることにしました。

AIを使いたい? 使いたくない? テーマによってこんなに違う!

AIを使いたいかどうかに対する回答は、4テーマでどう違うでしょうか。グラフで見てみましょう。

「AIを使いたい」と答えた人が約9割を占める「医療」と「防災」に対して、「恋愛」は6割、「死後」に関しては5割以下でした。テーマによって傾向が大きく違うことがわかります。

コメントから見えてきた、みんなの「AIとの向き合い方」の傾向

これらの4つのテーマに関して寄せられたコメントをグルーピングしていくと、4つの傾向(ゾーン)が浮かび上がってきました。

(1) 信頼ゾーン(左上)

「AIは、今まさに自分が直面している課題を解決してくれる頼れる存在」と捉える意見。
・医療「手軽に専門的な見解が得られる」
・防災「冷静な判断ができる」
・恋愛「恋愛に関して人間は客観的な判断ができない」
・死後「精神的に支えてくれる」

(2) 期待ゾーン(右上)

「AIで社会全体が良い方向に進んでいくだろう」と捉える意見。
・医療「医師不足の解消」
・防災「予測精度が向上する」
・死後「大昔の故人とも対話できる」

(3) 拒絶ゾーン(左下)

「AIが人間の代わりになることは出来ない」と捉える意見。
・医療「人間の医師の方が安心だ」
・恋愛「感情をデータで測れるとは思わない」
・死後「思い出を汚される」

(4) 不安ゾーン(右下)

「AIを使うことで社会に悪い影響が出るのでは」と心配する意見。
・防災「防災意識が低下する」
・恋愛「AI に気持ちを操作されているようだ」
・死後「政治的に悪用される」

4つのゾーンの関係性は、上のような図で表すことができます。
上下の軸は「ポジティブ⇔ネガティブ」、左右の軸は「直観⇔客観 (いま向き合っている課題に関すること⇔社会全体がこれから直面するであろう課題に関すること)」と整理できます。

ポジティブ意見とネガティブ意見はつながっている!?

ぜひ注目していただきたいのは、ポジティブな意見とネガティブな意見が、実は近い内容を指している場合があるということ。ここで、マップを見てみましょう。マップの中には、ポジティブな視点とネガティブな視点が「破線矢印」でつながっているところがあります。例えば以下のように、ある一つの事象に関して意見が対立している構造を見つけることが出来ると思います。

期待と不安、信頼と拒絶。それぞれの相反する感情は、AIが社会に与えるポジティブな影響、ネガティブな影響を同時に提示してくれます。

これがおすすめ! マップの楽しみ方

さあ、それでは改めて一緒にマップを見ていきましょう! マップをどのように見るかは自由ですが、楽しみ方の1つをご案内します。

【ステップ1:「恋愛」「医療」「防災」「死後」から気になるカテゴリーを1 つ選びましょう。】
→ここでは仮に「恋愛」を選ぶことにします。

【ステップ2:カテゴリーの色を手がかりに、一番気になる言葉が書かれたマスを見つけましょう。】
→恋愛のピンクのマスの中から、「感情をデータで測れるとは思わない」を選んでみました。

【ステップ3:そのマスから線をたどって、自分に近い意見、違う意見を眺めてみましょう。】
→このマスから線をたどっていくと‥‥

 他にも、ネガティブな立場の意見を見つけることが出来ました。
「恋愛に他者のアドバイスは必要ない」「結局参考程度にしかならない」と、最終的な判断は人間がするものだ、という考え方が読み取れます。

こちらはポジティブな意見。
「感情をデータで測れるとは思えない(ので使いたくない)」に紐づく反対意見は「恋愛に関して人間は客観的な判断ができない(ので使いたい)」というもの。うーん、なるほど!二つともその通りだなあ・・・・自分はどちらの立場に近いんだろう?とだんだん悩ましく思えてきます。

更にたどっていくと、身近に恋愛相談できる人がいない、恋愛経験が少ない、など、使う人のニーズが多様であることも見えてきました。

このように、ひとつの意見を起点とし、そこに関連付いている意見をすごろくのようにマップ上でたどっていくことで、新しい考え方に出会ったり、自分自身の考え方を発見するきっかけとし、このマップを使っていただけたらと考えています。

このマップは未完成、完成させるのはみなさん自身

ここにある意見は、まだまだほんの一部です。
これから一緒にAIを使っていくことになるであろうご家族や友人、同僚、周りの方と一緒にマップを見ながら、「この意見、どう思う?」など問いかけてみてください。共感したり、意見の違いを発見できるかもしれません。そして、その意見にたどり着くまでの背景を話してみましょう。それが、あなただけのオリジナル「AIマップ」になります。
AIを作るのも人、使うのも人。お互いの意見の違いを知ろうとする姿勢が、人間にとってより豊かなAI社会をつくることにつながっていきます。

アンケートに参加してくださったのはどんな人?

未来館の常設展内やWEBサイトを使ってアンケートを実施しました。
以下のページから、設問をご覧いただくことができます。
外部サイトへ移動しますアンケート「ハロー!AI社会~人工知能で何したい?」

アンケート実施期間:2020年2月3日(月) 17:00~2月24日(月) 17:00
実施場所:オピニオン・バンク(日本科学未来館5階常設展内、WEBサイト)
調査実施:日本科学未来館
協力:一般社団法人 人工知能学会
有効回答数:887

・参加者の性別(SA)

・参加者の年齢(SA)

・AIについての理解度(SA)

「みんなでつくるAIマップ」クレジット

制作:日本科学未来館/ Miraikan フォーカス プロジェクトチーム(漆畑 文哉, 渡邉 吉康, 宮田 龍, 小澤 淳, 河野 美月)
協力:一般社団法人 人工知能学会
デザイン:德間 貴志(bowlgraphics Inc.)
アンケートイラスト:冨田 マリー

(※2020年6月11日 参加者の年齢グラフを一部修正)

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