日本科学未来館に併設の「研究エリア」 企業などにも入居対象を拡大

7月9日から新規プロジェクトの募集を開始

日本科学未来館

研究エリアに入居する研究室の様子

日本科学未来館(略称:未来館 館長:浅川智恵子)は、館内に併設する「研究エリア」への入居プロジェクトを新規に募集します。これまで大学や研究機関などの公的資金で研究運営されるプロジェクトを入居対象として研究室を提供していましたが、今回の募集からより広く未来館を活用していただくために、企業などにも対象を拡大します。

未来館では、最先端の研究開発や実証実験に来館者が参加する活動として「未来をつくるラボ」を展開しています。その一環として、常設展示ゾーンの隣に設けられた「研究エリア」を最先端の研究開発に取り組むプロジェクトに研究室として貸し出し、研究者と来館者との対話イベントや実証実験などを共同実施することで、研究開発への興味関心を高め、市民参画を促進してきました。

今年度の募集からは、より広く社会に開かれた場とするため、公的資金による研究開発に加えて、企業などの公的資金以外で実施する研究開発プロジェクトにも入居していただけるよう制度を改正しました。前者の場合はこれまでと同じく無償での提供ですが、後者については使用料金を納めることでご利用いただけます。詳細は、募集要項をご覧ください。

今回の制度拡大にあたり、館長の浅川は「本制度に企業が参画することで、社会実装により近い実証実験などに来館者の皆さまが参加する機会が増えることを期待しています。入居プロジェクトとの取り組みを通して、未来をつくるラボとしての役割を一層強化していきます」とコメントしています。

募集期間
2025年7月9日(水)10:00 ~9月12日(金)17:00
対象施設
4室(各114㎡)
入居対象
以下の要件を満たす研究プロジェクト
1. 研究室を活用し、自身の研究推進および科学コミュニケーション活動を積極的に実施
2. 日本国内に居住しており、日本国内で法人格を有する機関
3. 科学コミュニケーション活動を行う目的を有し、自己の費用で実施が可能な者
入居期間
2026年4月1日(水)から最短2年間、最長上限6年間
詳細

https://www.miraikan.jst.go.jp/research/facilities/koubo/

日本科学未来館「研究エリア」について

最先端の科学技術を研究開発する場として、2001年の開館時から展示エリアの隣に併設されているユニークなスペースです。未来館では、入居する研究者と来館者との対話を促進し研究開発への市民参画を活性化する機会として、トークセッションや実証実験イベントなどを研究者とともに企画・実施してきました。現在は約10の研究プロジェクトが入居しています。

現在入居しているプロジェクトの一例

「知的やわらかものづくり革命」プロジェクト

研究代表者 : 古川 英光 氏 (山形大学 ソフト&ウェットマター工学研究室 SWEL)

やわらかい「ゲル」材料と3Dプリンティング技術を中心に、未来のものづくりの研究を進めています。ゲル材料を自由に造形できる3Dゲルプリンター、ペースト状素材から自在に食べものを造り出す3Dフードプリンター、さらに食べものや飲みものなどを判別しデータ化するAI解析ロボットなど、新たな技術を開発。未来館では、こうした技術を体感できる実験やイベントを開催し、来館者から得られたアイデアを新たなプロトタイプの開発につなげています。

「アバター共生社会」プロジェクト

研究代表者 : 石黒 浩 氏 (大阪大学大学院 基礎工学研究科)

遠隔操作をしているロボットが得た感覚を、自分も体感できる。そんな身代わりロボット「サイバネティック・アバター(CA)」の研究をしています。この技術によって、人は身体、脳、空間、時間の制約を超えて活躍することが可能になるかもしれません。一方で「目の前の相手は人なのかロボットなのか?」という問題も起こりえます。未来館ではアバターロボットの実証実験を行いながら、来館者との対話を通じ、未来の倫理・社会的課題に向き合う研究も推進しています。

「ヒューマン・オルガノイド」プロジェクト

研究代表者 : 武部 貴則 氏(大阪大学、東京科学大学、横浜市立大学、シンシナティ小児病院)

「オルガノイド」とは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)などヒトの細胞から、試験管の中でつくり出すミニチュア版の臓器のこと。この直径0.1~0.2mmの臓器を活用し、臓器が形作られるしくみの解明や、新しい医学のアプローチを探求しています。未来館では、市民参加型研究「#みんなの肝臓リサーチ」を実施。肝臓の健康が、遺伝や生活習慣、そして幸福度など、さまざまな要因とどう結びついているかを解明する研究を行っています。

※武部 貴則 氏の所属を修正しました(2025年7月9日)

研究者とのトークイベントの様子
研究目的に合わせて研究室内の改装が可能

入居プロジェクトの概要や活動は、次のWEBページをご覧ください。

https://www.miraikan.jst.go.jp/research/facilities/

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日本科学未来館
Tel:03-3570-9151(代表)
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