「探究学習プログラム」を公開

「総合的な探究の時間」で未来館を活用

公開した「探究学習プログラム」

日本科学未来館(略称:未来館 館長:浅川智恵子)は、高等学校における「総合的な探究の時間」(探究学習)の導入で未来館を活用していただくための教材として、「探究学習プログラム」を2024年9月4日(水)に公開しました。未来館の展示見学と学校での準備やまとめを合わせた、計6コマ分の授業を提案するパッケージです。探究学習の最初のステップである「課題の設定」に着目し、生徒自身の興味・関心に沿った課題の発見につなげることを目的としています。高等学校はもちろん、中学校の「総合的な学習の時間」でもご活用いただけます。

このプログラムでは、課題設定の前段階に「探検」という新たなアプローチを提案しています。生徒は未来館や学校などで、まずは「なんとなく気になるもの」を気軽に記録し、自分で振り返ったり他の生徒と共有したりします。これにより一人ひとりの気づきや発見を促し、課題設定に必要な自分なりの着眼点を顕在化していくことができます。また、「探検」から具体的な課題設定へつなげる方法も説明しています。

今回の背景としては、学習指導要領の改訂により、高等学校で2022年度から「総合的な探究の時間」(探究学習)が始まったことがあります。未来館が学校団体へ調査したところ、教員は探究学習において生徒の興味関心にもとづく課題の設定に難しさを感じていること、また未来館を探究学習に活用したいというニーズがあることがわかりました。そこで今回、生徒それぞれの興味・関心を引き出し、課題設定へとつなげる題材として常設展示を役立ててもらう授業パッケージを制作しました。教員用のガイドブックに加えて、マニュアルとスライド、生徒用のワークシートも公開しています。これらを参考に、各学校の実状にあわせてアレンジを加えるなど、教員に主体的に実施していただくプログラムです。

公開にあたり、浅川は「未来館の常設展には身近な社会課題を科学技術の観点から捉える展示がたくさんあります。教員の皆さまには、このプログラムを通して、未来館でSTEAM教育の実現に向けた取り組みを実践していただきたいです」とコメントしています。

概要

タイトル
「探究学習プログラム」
監修
奈須 正裕氏(上智大学 総合人間科学部 教授)、
市川 力氏(一般社団法人みつかる+わかる代表理事)
編集
株式会社 a.school
URL
https://www.miraikan.jst.go.jp/resources/provision/InquiryBased/

「探究学習プログラム」ガイド目次

プログラムに沿って展示を「探検」し情報を共有する高校生

はじめに 本プログラムでできること
第1章  探検とは?
第2章  探検前の学習
第3章  未来館の探検
第4章  探検後の学習
第5章  探検から課題設定へ
※本プログラムに限らず、探究学習に未来館を活用している学校の実践例なども紹介しています

探究学習プログラムについて詳しくみる

監修者からのコメント

奈須 正裕氏 (上智大学 総合人間科学部 教授)

探究において重要なのが「課題設定」です。探究に値する課題を設定するには、どうすればよいのか。具体的な学習活動をサポートする学習環境の充実が望まれます。本プログラムでは学習環境として日本科学未来館を活用することで、探究の各プロセスを適切に展開するためのポイントを具体的な学習活動や教材とともに示しています。本プログラムにより、探究が豊かに生み出されることを期待しています。

市川 力氏 (一般社団法人みつかる+わかる 代表理事)

探究学習において大事なのは身のまわりにある不思議を面白がる「探検」精神です。この「探検」のプロセスを通じて課題は自ずと浮かび上がってきます。さらに課題を追究する際にも、多面的な見方・考え方を面白がるようになります。未来館のような先端科学技術に満ち溢れている場所を探検することで、自分の思惑や常識を超えたものがあることに気づき、そこから生まれる素直な思いつきが探究の種となるでしょう。

「探究学習プログラム」を試行した高等学校教員の声

展示を見て触れて、知識としては知っていたことが体験をふまえた理解につながった様子が見られました。目的をもって展示を見ることが非常に有効だったと感じています。光と影、過去と未来という整理された視点を持って考えることによって理解が深まったようです。例年より課題設定にスムーズにふみこめました。

参考1 「総合的な探究の時間」(探究学習)について

「変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、より良く課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成すること」を目標にした学習です(※)。学校現場では、生徒自身の経験が乏しく、興味・関心がどこにあるのかわからない生徒が多いこと、また興味・関心はあってもそれを言語化した経験がないため課題設定に結びつけることが難しいという声があります。

文部科学省WEBサイト「総合的な学習(探究)の時間」参照外部サイトへ移動します

参考2 未来館の団体来館を対象とした取り組み

効果的な展示見学となるよう、団体向けに事前予約制のトークやワークショッププログラムを実施しています。また、印刷するだけで使用できるワークシートなども公開しています。詳しくは以下のページをご覧ください。

団体向けプログラムについて詳しくみる

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