本展示は終了しました。

展示概要

私たち人間にとってロボットとは何なのでしょう。ロボットを見るとワクワクするのは何故でしょうか。また、期待と同時に、戸惑いを感じてしまうことがあるのは何故でしょうか。
本展は、人間がロボットに対して抱く親近感、恐怖、違和感などの裏側にある文化的な意味や価値を考える試みです。 ロボット自身がミーム(※)を運ぶ新しいメディアとなることを想定し、人と機械とのインターフェイスとしての「ロボットデザイン」を提案します。 さまざまなイマジネーションを刺激される空間のなかで、ロボットたちに接して、人間とロボットとの関係について考えてみてください。

※ミーム(meme)
遺伝子では伝えられない情報を伝える架空の文化的遺伝子。 イギリスの生物学者リチャード・ドーキンスが1976年に発表した著書『利己的な遺伝子』のなかで提唱したもので、gene(遺伝子)とギリシャ語のmimeme(模倣) を合成した言葉。

展示構成

未来のロボット工場

会場はヒトの形に押し型された透明パネルで囲まれています。これは「未来のロボット工場」をイメージし、ロボット・ミーム、人とロボットの関係性、ヒト/ロボットの複製などさまざまなことを連想させる空間です。
(制作/吉岡徳仁)

Cyclops―睥睨する巨人

柔らかい脊椎と目(CCDカメラ)を持った巨人ロボットです。球体関節を多数重ね合わせた脊椎の周囲には、30本のエア・マッスル(空気圧で動く人工筋肉)が配置されています。ロボットは、会場に入ってきた来館者を目で追い、ゆらゆらと動きます。サイクロプスの「まなざし」と「柔らかい動き」を体験しながら、「知的生物らしさ」とは何かについて考えてみてください。
(制作/山中俊治 技術協力/東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻井上・稲葉研究室)

P-noir(Pierrot noir 黒いピエロ)

オルゴールをイメージした舞台でロボットP-noirがバレリーナのように踊っています。来館者がインターフェイスを動かすと、P-noirの動きが変わり、顔や腕、足を使って、様々な表情を示します。
(制作/松井龍哉)

オーキソイド

「Orchisoid」とは、野生の蘭もどきという意味です。熱帯をイメージした空間に蘭と一体化したロボットが動いています。期間中環境の変化によって変動する蘭の生体電流を測定していきます。ロボットを構成する蘭と遺伝的アルゴリズム、移動機構と、そこに関与する人(来館者)、環境の相互作用を実験的に見せています。
(制作/銅金裕司+藤幡正樹)

映像展示「二足歩行カタログ」

人間(歩き始めの赤ちゃん、おばあさん、バレリーナ、狂言役者)、サル、アヒル、鶏、ロボット(PINO)が二足歩行している映像をインタラクティブな装置を使って展示します。来館者はいくつかの二足歩行の様子を同時に見ることにより、二足歩行のしくみ、それぞれの相違、特徴を発見します。
(制作/藤幡正樹)

ヒューマノイド・コントローラ

ヒューマノイドの歩行にはコンピュータによるコントロールの役割が重要です。まだまだ人間のように確実な歩行を実現するヒューマノイドのコントローラは実現されていません。ヒューマノイドの運動をほぼリアルタイムで計算する最先端のシミュレータを用いて、発展段階にある現在のヒューマノイド・コントローラの性能を体験してみませんか。
(制作/東京大学大学院情報理工学系研究科中村・岡田研究室/科学技術振興事業団戦略的基礎研究推進事業)

会場風景

スライド 1:
スライド 2:

基本情報

タイトル
「ロボット・ミーム」展 ~ロボットは文化の遺伝子を運ぶか?
会期
2001年12月1日(土)~2002年2月11日(月・祝)
開催場所
日本科学未来館 1階
主催
日本科学未来館
後援
文部科学省、東京都教育委員会
展示品制作
藤幡正樹+銅金裕司、松井龍哉、山中俊治、吉岡徳仁(空間デザイン)、東京大学大学院情報理工学系研究科中村・岡田研究室
企画
日本科学未来館、国際ロボットデザイン委員会(IRoDA:松井龍哉、藤幡正樹、山中俊治、北野宏明)
協力
科学技術振興事業団創造科学技術推進事業(ERATO)北野共生システムプロジェクト、科学技術振興事業団 戦略的基礎研究推進事業(CREST)、シンコール株式会社、東京芸術大学美術学部先端芸術表現科、東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻 井上・稲葉研究室、株式会社日南、野村萬斎、理想科学工業株式会社、早稲田大学演劇博物館