本展示は終了しました。
展示概要
恋愛という言葉を聞くと、誰もがなぜか反応します。
人間であると同時に、一つの生命システムに組み込まれた一つの個体であるわたしたち。その個体はさらに細かく見ていけば、さまざまな物質の集合体です。そんな人間にとって、他人を好きになり、パートナーを見つけ、生涯を送るということにどのような意味があるのでしょうか。
このような疑問から、わたしたちは「恋愛」というものを、あえて科学的な立場からとらえ直してみることにしました。すると、それが生命の神秘であると同時に、人間という生命にとってきわめて特徴的な行為であるということが見えてきました。
この展覧会を体験することで、一つの「生命」としての自分と、言葉を話し、感情を持つ「人間」としての自分を再発見することと思います。
そして今ここで、あるいは未来のどこかで、 あなたの隣にいる人への新たな視点が生まれるかもしれません。
ヒトが人になる前からの、地球に息づくパートナー探しの物語、恋愛物語展を楽しんでください。
展示構成
プロローグ=「どうして一人ではいられないの?」
若手写真家、長野陽一が撮り下ろした写真から、様々なカップルのストーリーが展開されます。先鋭な視点によって切り取られた現代人の恋愛事情を感じていただきます。
第1章=「恋する生命体の物語」
はじめに、オスとメスのペアから体の大きなメスがいなくなるとオスがメスに変化する「カクレクマノミ」や、温度差で性が決まる爬虫類など環境で性を変化させる生物を例に性の多様性を紹介します。さらに、オスとメスはどう決まるかといった“性の起源”、相手を射止めるための生物のさまざまな“恋愛戦略”を紹介します。
第2章=「恋するホモサピエンスの物語」
生殖機能と寿命の関係、 “人間としての恋愛”を考えます。生殖機能と寿命の関係で興味深いのは、進化人類学者の「おばあちゃん効果」という仮説。人間の長い歴史の中で、年配者の割合が飛躍的に伸びたことが人間の進化に大きな役割を果たしたという説を引用しながら、言語を取得したヒトの、他の生物とは違う文化を伝える “恋愛”を検証していきます。
第3章=「恋する人の物語」
愛する気持ちを言語や文字、文学、芸術、コミュニケーション手段の発達に伴うデータベースにいたるまで、さまざまな方法で愛を伝えようとする人の試行錯誤の流れを、人間としての恋愛行動として紐解きます。
エピローグ=「はじまりのおわりに」
来場いただいた方々に、生命としての視点と文化を伝える人間としての視点をもって今と向かい合っていただきます。性を無視して子供を生めるか?感情をコントロールできるか?存在しない相手に恋できるか?といった疑問を投げかける恋愛を巡る先端技術を実演。一方、例えば遺伝型と好みの関係についてなど、噂話的な恋愛四方山話の科学的な見地から解説を試みます。
会場風景
基本情報
- タイトル
- 「恋愛物語展」-どうして一人ではいられないの?
- 会期
- 2005年4月23日(土)~8月15日(月)
- 開催場所
- 日本科学未来館 1階 催事ゾーン
- 企画・制作
-
日本科学未来館
サイエンスアドバイザー
石野史敏(東京医科歯科大学難治疾患研究所教授)
佐久間康夫(日本医科大学大学院医学研究科システム生理学分野教授)
長谷川眞理子(早稲田大学政治経済学部教授)
山元大輔(東北大学大学院生命科学研究科教授)
- 会場デザイン
- 橋本夕紀夫デザインスタジオ
- アートディレクション&デザイン
- 有山達也
- 写真
- 長野陽一
- アートプロダクト
- 石黒猛
- 音楽
- 下田法晴(サイレントポエツ)
- ファブリックデザイン
- 安東陽子(NUNO)
- 照明ディレクション
- 武石正宣(ICE)
- 映像&インターフェースデザイン
- 山口崇司
- アニメーション
- 6nin
- 主催
- 日本科学未来館