新しい医療の開発を進めるためには、人間の体の内側で起きていることを知ることが大事です。たとえば病気になると、人の体はどのように変化するのか。新しい薬の候補を投与するとどのような影響があるのか。しかし、実際に人体を用いて実験を行うことは、倫理的に厳しく制限されています。
そこでいま、期待が集まっているのがミニチュアの臓器「オルガノイド」。iPS細胞などから作られる複数の種類の細胞を組み合わせることで、臓器と似た構造や働きをもたせたものです。オルガノイドを使えば、実験室で、生体内に近いかたちで、薬による影響を観察したり、さまざまな実験を行ったりすることが可能になります。
このオルガノイドの研究を柱に、だれもが健康に暮らせる社会を目指して研究を行う「ヒューマン・オルガノイドプロジェクト」が2021年4月に日本科学未来館の研究エリアに加わりました。プロジェクトを率いる武部貴則さんは、再生医療や創薬支援の分野をリードしている注目の若手研究者。これまでに肝臓の構造を再現するなど革新的なオルガノイドを開発してきました。

このイベントでは、ヒューマン・オルガノイドプロジェクトから武部さんと、一緒に研究活動を進めていく大内梨江さん、小高明日香さんの3人をお呼びし、オルガノイド研究とその先にめざす理想の医療について、みなさんと語り合っていきます。
研究者たちと一緒に、誰もが健康でいられる社会について、みなさんも考えてみませんか?

ゲストスピーカー

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武部貴則

東京医科歯科大学、横浜市立大学

東京医科歯科大学 教授、横浜市立大学 特別教授、シンシナティ小児病院 准教授、オルガノイドセンター 副センター長。2011年横浜市立大学医学部医学科卒業。同年より横浜市立大学助手 (臓器再生医学)に着任し、 電通 × 博報堂ミライデザインラボ研究員を併任。2013年にiPS細胞から世界で初めて血管構造を持つヒト肝臓原基を創る。臓器再生医学の研究のほか、Street Medicalの普及に取り組む。

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大内梨江

東京医科歯科大学

2016年東京大学 大学院新領域創成科学研究科 博士課程修了。米・シンシナティ小児病院 消化器部門・発生生物学部門でリサーチフェローとして勤務。現職、東京医科歯科大学 統合研究機構 プロジェクト研究員。

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小高明日香

横浜市立大学 先端医科学研究センター コミュニケーション・デザイン・センター

イラストレーター、グラフィックデザイナー。2014年 茨城大学 農学部 卒業。2018年より横浜市立大学にてStreet Medicalの企画・進行を担当。多拠点ある武部研究室を横断してサイエンスイラストレーションも手がける。

企画・ファシリテーション

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三澤和樹

日本科学未来館 科学コミュニケーター

ミニチュア臓器「オルガノイド」の研究者と描く医療の未来

開催概要

放送日時
2021年5月5日(水)14:00~15:00
視聴方法
YouTube Live(Miraikan Channel)にてインターネット放送します。
字幕の視聴について
音声認識字幕アプリ「UDトーク」によるコミュニケーション支援をおこないます。(リアルタイム配信時のみ)
参加費
不要(コメント入力にはYouTubeアカウントが必要です)
主催
日本科学未来館、ヒューマン・オルガノイド プロジェクト
お問い合わせ先
日本科学未来館
Tel: 03-3570-9151(代表)

研究エリアについて

未来館に併設されている「研究エリア」には、最先端の研究を進める12のプロジェクトが常駐しています。一般の人々が研究に参画する場として今後さらなる展開を考えています。一緒に未来の研究をつくっていきましょう!
日本科学未来館 研究エリアについて