福田さんの研究で活躍した実験材料の1つ、ヒャクニチソウ

「良い問いを投げかけると、生物は答えを返してくれる」と語る東京大学名誉教授の福田裕穗さんは「植物の木質形成機構の解明とバイオマス利用基盤の構築」に関する功績で、令和2年みどりの学術賞を受賞されました。本イベントでは視聴者の皆さんと一緒に福田さんに多くの質問を投げかけ、植物の謎に挑む研究者の姿に迫ります。

移動することが難しい植物は、その代わりに天候や土地の状態に合わせて自分の体を巧みに変化させます。その仕組みは非常に複雑で、いまだに多くのことが謎に包まれています。植物の体をつくっているのは、その多くが0.1mmにも満たない小さな細胞たち。それぞれの細胞がまわりの細胞とコミュニケーションを行い、茎、葉、花といったいろいろな種類の細胞へと自らを変えていきます。
福田さんが研究を始めた1970年代は今よりもさらに謎が多く、使える実験装置や設備も限られていました。わかり切ったことを調べても新しい発見にはなりません。一方で、持っている知識や技術、実験材料、実験器具の限界を超えすぎていても失敗します。分かるか、分からないか、その微妙なラインを見極めるのが研究者の腕の見せ所でした。
福田さんが当時注目したのが、根、茎、葉など植物全身を貫く組織「維管束(いかんそく)」。水を送り届ける「木部(もくぶ)」と、栄養を送り届ける「師部(しぶ)」、それぞれの細胞が生まれ続ける場所です。維管束の細胞が織りなす巧妙な仕組みを解き明かしたことが高く評価されました。福田さんの研究はバイオマス利用により適した植物の開発などの基盤となっています。
植物の謎に挑む第一線の研究者たちは、いったいどのように「生物への良い問い」を見つけているのでしょうか。福田さんのお話を通じて一緒に探っていきましょう。

ゲストスピーカー

福田裕穗 の写真

福田裕穗

東京大学 理事・副学長、東京大学 名誉教授

東京大学を卒業後、同大学の大学院に進み、1982年3月に理学博士取得。専門分野は植物生理学、植物細胞生物学。細胞培養や分子レベルの解析を組み合わせた研究を得意とする。日本植物生理学会学会賞、日本植物学会学術賞など受賞多数。2012年11月には紫綬褒章受章。

企画・ファシリテーション

綾塚達郎 の写真

綾塚達郎

日本科学未来館 科学コミュニケーター

開催概要

開催日時
2020年10月18日(日) 14:30~15:30
開催場所
YouTube Live(Miraikan Channel)にてインターネット放送します。
参加方法
どなたでも視聴可能です。
参加費
無料
主催
日本科学未来館、内閣府(みどりの学術賞及び式典担当室)
お問い合わせ先
日本科学未来館
Tel: 03-3570-9151(代表)