私たちの身の周りには、地震や豪雨、感染症といった「私たちの命や社会の存続を脅かす危険」がたくさんあります。こうした「ハザード」からの被害を受けないよう、私たちが自然と行動しやすい防災・減災対策をつくるためには、どのような考え方や仕組みが大事になるでしょうか? 今回のイベントでは、日常的に起こり、時に大規模な被害につながる「雨」を対象とした実証実験からそのヒントを探ります。
天気予報や緊急地震速報などの情報は、科学技術によって産み出されていますが、これらの精度を高めるだけでなく、「情報を受け取った人がどのように感じるか」という視点を積極的に加えて、より効果を高めようという考え方があります。
例えば、「1時間で30mmの降水量」という情報から、自分にどんな危険をもたらす可能性があるのか想像できますか? リスクを判断するために欠かせないこうした数値の情報を、専門家ほど詳しくない私たちでもイメージしやすいかたちに工夫できるのではないでしょうか。 また、繰り返し襲ってくるハザードとどのように向き合っていくのかも課題です。避難が空振りに終わった場合、それが単なる幸運のおかげだったとしても、「次は避難しなくても良い」と思ってしまいます。しかし、たとえ避難が空振りに終わっても、「避難して良かった」というポジティブな体験を提供できれば、次の適切な避難にもつながりやすくなるかもしれません。
ご登壇いただく2人の講師は、昨年、民間の降水予報アプリを利用して、心理学を基に気象情報の出し方を工夫すると、人の意識や行動がどのように変化するのかを調べる実証実験を行いました。具体的には、10分後の降雨情報を降水量という数値で伝えた人と、視覚的にわかるアニメーションで伝えた人の行動の違いや、降雨情報と一緒に近くの喫茶店の割引クーポンを送った人と送ってない人の行動の違いを調べました。いったいどのような行動の違いが現れたのでしょうか。当日は、これらの実験や防災心理学の基礎についてご紹介いただきます。
毎年9月1日は防災の日。研究者と皆さんがお互いに思っていることを話し合い、これからの「人が動く防災」について一緒に考えてみませんか?
ゲストスピーカー
島崎 敢 氏
名古屋大学 未来社会創造機構 特任准教授
1976年東京生まれ。心理学者。2008年、早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学。同大学助教、防災科学技術研究所特別研究員を経て、現在に至る。心理学や人間工学など、人間側からのアプローチによってリスク削減を目指す。
中島 広子 氏
国立研究開発法人防災科学技術研究所 気象災害軽減イノベーションセンター 連携推進マネージャー
1979年茨城県生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了。公的研究機関の研究員として勤務後、産学官連携の世界へ転身。財団やファンディング機関を経て現在に至る。現職では、産学官連携業務を推進しながら、プログラム・マネージャーとしても活動している。
企画・ファシリテーション
梶井 宏樹
日本科学未来館 科学コミュニケーター
アーカイブ(電子書籍)
開催概要
- 開催日時
- 2019年9月1日(日) 14:30~15:30
- 開催場所
- 日本科学未来館 5階 コ・スタジオ
- 定員
- 50名程度(立ち見も可)
- 参加費
- 入館料のみ
- 参加方法
- 事前申し込み不要。直接会場までお越しください
- 主催
- 日本科学未来館
- 問い合わせ先
-
日本科学未来館
Tel: 03-3570-9151(代表)