福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質の状況は、除染や気象現象などさまざまな要因により、大きく変化を続けています。7年が経過し、放出された放射性物質はどこへいったのでしょう。また、一度汚染された土地で農業はどのように行われているのでしょう。調査研究を行ってきた研究者たちより、重要な知見を聞くとともに、残された未解決の問題と今後も見張り続けなければならない事柄について、また、科学者と市民そして社会の役割について、参加者全員で考えます。

第1部 トークセッション

放射能汚染の問題について、これまでの7年間に、どのような研究が行われて何が解明されたのでしょうか。長期的な放射性物質の観測やシミュレーションなどから明らかにになったことを研究者からお話いただきます

「大気への放出と飛散実態はどこまで解明されたのか?」
事故によって放射性物質は大気中にどれくらい放出されたのでしょうか。各地の空間線量や、放射能をもつ浮遊粒子について新たに掘り出されたデータ、そして事故の後の気象データなどを総合的に分析してわかった、放出と飛散の実態をお話しします。
登壇者: 中島 映至 (JAXA 地球観測研究センター センター長)

「陸はまだ汚染されているのか?」
私たちが住み、食物を生産している陸地の汚染実態は、事故後7年間でどのように変化してきたのでしょうか。経年モニタリング結果を中心に、放射性物質の河川による移動や、土壌中の粒子の作用による移動、また森林生態系内での放射性物質の循環についてお話しします。
登壇者: 恩田 裕一 (筑波大学 アイソトープ環境動態研究センター センター長)

「海へ流れ出した放射性物質はどこへ行ったのか?」
事故によって放出された放射性物質の約8割は海洋に降り注ぎました。その後の放射性物質の動きや減少の様子を、海水・海底土のモニタリング結果とともにお話しします。また、懸念されている海底付近に住む生物への影響についても、経年モニタリングの結果を紹介します。
登壇者: 山田 正俊 (弘前大学 被ばく医療総合研究所 教授)

「農業は復興できたのか?」
農業における放射能低減対策として、有効なカリウム施肥の効果をお話ししつつ、現在農産物の放射能検査体制がどのように敷かれているのか、またこれまでの検査結果はどのようなものなのかについて紹介します。
登壇者: 信濃 卓郎 (農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター 農業放射線研究センター センター長)

第2部 個別トークセッション

大気、陸地、海洋における放射性物質の状況、放射性物質が農業や漁業に与える影響とその対策などをポスターにまとめ紹介します。各ブースでは、研究者による個別トークセッションを行います。

第3部 全体ディスカッション「これからの課題」

第1部、第2部で集められた質問やコメントをもとに、登壇者と参加者全体で新たな情報をどのように解釈し、判断にいかしていけばよいのか、また今後どのような調査や研究が必要なのか、ディスカッションを行います。

登壇者: 中島 映至、恩田 裕一、山田 正俊、信濃 卓郎
ファシリテーション: 雨宮崇(日本科学未来館 科学コミュニケーター)

個別トークセッション

第3部のディスカッションを踏まえ、新たに生じた疑問を研究者に直接聞くことができるセッションです。

報告記事

原発事故から7年、放射能汚染の状況はどこまで改善したのか(1時間27分)

開催日時
2018年3月10日(土) 13:00~17:30
開催場所
日本科学未来館 7階 未来館ホール、コンファレンスルーム
定員
240人
主催
日本科学未来館
共催
消費者庁