ゲノム編集は、狙った遺伝子を自在に改変する技術です。従来の遺伝子組み換え技術より格段に確実で効率がよいため、人への応用が現実味を帯びてきました。特にヒトの受精卵に応用すれば、遺伝病の治療などに大きな効果を発揮すると考えられています。一方、病気以外の遺伝的形質を改変することも技術的には可能で、医療行為の範囲を超えて赤ちゃんの外見や性質を好み通りに改変する「エンハンスメント」を行って「デザイナーベビー」を得ることも可能と考えられています。
また、ゲノム編集によって組み替えられた遺伝子は、一代限りではなく子々孫々まで受け継がれ、結果的には人類全体に影響を及ぼす可能性があります。そしてゲノム編集を受ける「当事者」は、まだ生まれていない子どもであるため、生まれて来る子どもたちの権利をどのように守って行くか、という課題もあります。

このトークイベントでは、ゲノム編集とはどのような技術か?その技術によって自分の子どもや子孫の遺伝子をどこまで改変して良いのか?それとも、やるべきではないのか?について、専門家や遺伝性の難病の方も交えて、「自分の家族の問題」として考えます。

プログラム

・基調講演①「ヒトの発生とゲノム編集」
阿久津英憲氏(国立成育医療研究センター研究所 部長)

・基調講演②「『ヒト受精卵へのゲノム編集』の可能性と課題」
武藤香織氏(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 教授)

・客席を交えたディスカッション「ゲノム編集、あなたはどこまでやりますか?~家族・子孫・人類の視点から~」

ゲストスピーカー

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阿久津英憲

国立成育医療研究センター研究所 再生医療センター生殖医療研究部 部長

阿久津英憲氏(国立成育医療研究センター研究所 再生医療センター生殖医療研究部 部長)
95年に弘前大学医学部を卒業。99年から2年間半、ハワイ大学医学部柳町隆造研究室研究員。2002年、福島県立医科大学で博士号を取得し、産婦人科助手になる。同年秋、米国国立老化研究所遺伝学研究室研究員として再渡米し、04年からハーバード大学分子細胞生物学部研究員。05年、国立成育医療研究センター研究所室長に。日本で2番目にヒトES細胞を樹立した。現在は総合科学技術・イノベーション会議(内閣府)の「生命倫理専門調査会」委員として、「ヒト受精卵へのゲノム編集」に関する指針作りに参加している。

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武藤香織

東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 教授

2002年博士(保健学)取得。2013年より現職。家族と縁の深い医療や医学研究の現場や政策を調査研究。特に、被験者、患者、障害者の立場からみた課題を抽出し、研究や医療という営みに少しでも主体的な参画ができるようにするための研究に力を注いでいる。現在は総合科学技術・イノベーション会議(内閣府)の「生命倫理専門調査会」委員として、「ヒト受精卵へのゲノム編集」に関する指針作りに参加している。

企画・ファシリテーション

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浜口 友加里

日本科学未来館 科学コミュニケーター

開催日時
2016年5月29日(日) 13:00~15:00
開催場所
日本科学未来館 7階 会議室3
定員
80人
参加費
無料
申込方法
WEBによる申込、先着順。
申込期間
2016年4月21日(木)12:00~2016年5月29日12:00
主催
日本科学未来館
問い合わせ先
日本科学未来館
Tel: 03-3570-9151(代表)