サステナブルなミュージアムをつくる!

日本科学未来館は持続可能な社会の発展に貢献するため、展示やイベントなど地球環境問題に関する科学コミュニケーション活動とともに、自らの事業活動における環境負荷軽減の取り組みを進めていきます。私たちの選択と行動を共有することで、みなさまとともに新しいライフスタイルの実現を目指します。

取り組みの4つのアプローチ

サステナブルを実現するために取り組むべきことは数多くありますが、未来館では、特にエネルギー、マテリアル(原材料)、食、水の四つの分野に着目して取り組みを進めていきます。まずは事業活動における環境負荷の状況を定量的に把握するようつとめ、具体的な達成目標を策定していきます。取り組みを進める中で、私たちが選択したこと、実施したことは、随時公開していきます。

それぞれの取り組み

エネルギー・水

未来館で使われる主なエネルギーは、電力および地域熱供給からの温冷水利用で年間およそ3万2000 ギガジュール。これらにともなう二酸化炭素排出量は年間およそ3000トン(一般家庭約1000世帯分)です。エネルギー由来の二酸化炭素の排出量を削減していくために、これまでに館内照明をLEDに交換するなど高効率機器の導入によって省エネを進めるとともに、未来館で消費している全エネルギーのうち約46%を占める電力すべてを再生可能エネルギー由来のものに置き換えました。また、水資源についても有効利用を進めていきます。トイレや洗面台を節制型に交換するとともに、さらなる節水の方法を検討していきます。


エネルギー源別のエネルギー使用量
エネルギー源別の二酸化炭素排出量

再生可能エネルギー100%の電力を調達

深浦風力発電所の風車

未来館で使用する電力は2022年4月1日より再生可能エネルギー100%でまかなわれています。年間で約2000トンの二酸化炭素を削減できる見込みで、一般家庭約700世帯分の年間排出量(※)にあたります。 未来館で使われる電力は、年間およそ4100メガワット時です。できる限り温室効果ガスを出さないエネルギー源にしていくために、青森県にある深浦風力発電所、木造風力発電所で発電した電力と環境価値の証書「非化石証書」をゼロワットパワー株式会社から調達することで、実質的に二酸化炭素排出量ゼロの電力を手に入れています。※環境省調査にもとづき1世帯あたり2.88トンで算出

建物にも外部から光や空気を取り込む工夫

未来館を貫くスルーホール

日本科学未来館の建物自体にも環境に配慮した工夫がほどこされています。建物を縦に貫くように挿入された10本の塔はスルーホールと呼ばれ、屋上の太陽光追尾装置から光を内部に取り入れる「光の塔」、新鮮な空気の供給と排気を行う「風の塔」があります。


マテリアル

さまざまなマテリアル(原材料)はその調達から生産、消費、廃棄まで多くの環境問題を引き起こしています。来館者にプラスチックなどマテリアルとの新しいつき合い方を提案するほか、展示制作やオフィスなど事業活動で使用するマテリアルについても環境負荷を低減する方策を探っていきます。

自販機でペットボトル飲料の販売中止

オリジナルデザインが施された自動販売機

プラスチックとの付き合い方を見直してもらおうと2021年2月から、館内のすべての自動販売機を刷新し、ペットボトル容器の飲料を販売しないこととしました。自動販売機本体にはオリジナルデザインを施し、今回の取り組みの目的や背景について、分かりやすいグラフィックで伝えています。あわせて館内の冷水機にも、マイボトルへの給水がしやすいタイプを導入しました。


私たちが生きていくうえで欠かせない食は持続可能な未来を考えるうえで格好の題材です。レストランやカフェ、ショップのテナントに協力いただき、「大豆ミート」や「昆虫食」など新しい食のあり方を紹介してきました。

パネル展示「今こそ食べたいサステナブルごはん」

パネル展示「今こそ食べたいサステナブルごはん」

自然環境への影響を減らしつつ、これから先もずっとおいしいごはんを食べ続けるためには? 私たちの食生活と、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス排出の関係に注目し、持続可能な食生活について考えるパネル展示を制作しました。食べものの種類による温室効果ガス排出量の違いや、大豆などの植物を原料にして作られた代替肉についてグラフィックでわかりやすく紹介しました。