オープンラボ

一緒にさがそう未来のルール~ロボットの事故は誰かのせい?

開催期間:2018年4月~2019年3月

対話型ロボットや人工知能(AI)スピーカーなど、人間の代わりに仕事をするロボットの普及や、2020年の自動運転実用化を念頭においた試験運転の導入など、人間とロボットが暮らす世界が現実のものとなり、より関係が深まってきました。こうした技術の普及は、暮らしを便利にする一方で、技術の進化とともに、今後、より複雑で責任のある状況判断をロボットが担っていくことが予想されます。

2018年6月、経済産業省がAIスピーカーによる誤発注は無効であるという見解を示すなど、ロボットの判断によって発生した事故の責任の所在は、法整備を含めた今後の課題としてまさに検討が進められています。このプロジェクトは、事故や事件を想定した映像を使ったアンケート実験に市民のみなさまに参加していただきます。集まった市民感覚を法提言に盛り込んでいく研究です。

設計者の予期しないトラブルをロボットが引き起こしてしまった場合、誰がどのような責任を負うべきなのか、また、どのような法律が新たに必要なのでしょうか。新しいルールには自律的に判断をくだすシステムから恩恵を受けるべき市民が受け入れられることが重要です。そのためには、先端技術の光と闇、技術革新に伴う法整備の必要性、新技術に対する心理的負担、「責任」の概念など、それぞれ工学、法学、心理学、哲学の多角的な視点から、市民と共に考えることが必要です。

研究代表者

河合 祐司

大阪大学 大学院工学研究科・助教

ヒトの知性のメカニズムを構成論的に解明する研究およびヒューマンロボットインタラクションにおける責任意識に関する研究に従事。JST/RISTEX/HITE研究開発プロジェクト「自律性の検討に基づくなじみ社会における人工知能の法的電子人格」に所属。

イベント設計・科学コミュニケーションデザイン

片平 圭貴

日本科学未来館 科学コミュニケーター

宮田 龍

日本科学未来館 科学コミュニケーター

研究成果

2020.01
【論文】 河合 祐司:日本ロボット学会誌 2020年 38巻 1号 p. 32-36

2019.10
【論文】 Yuji Kawai, Tatsuhiko Inatani, Takako Yoshida, Kazuya Matsuura: In Proceedings of the International Workshop on Envision of Acceptable Human Agent Interaction based on Science Fiction at HAI
2020.08
第一回大阪大学共生知能システム研究センター【おウチで】サイエンスカフェの開催

2020.01
日本ロボット学会誌「ヒトとロボットの共生社会のための哲学・心理学・法学」特集の出版

2019.09
人工知能学会倫理委員会 AI ELSI賞 最終候補

2019.11
科学未来館オープンラボイベント開催レポート