メディアラボ第15期展示「アルクダケ 一歩で進歩」

常設展示「メディアラボ」は、先端情報技術による表現の可能性を、定期的な展示更新を行いながら紹介していくスペースです。

 「歩き方」には、腕の振り方や歩幅の大きさ、姿勢など、人それぞれに違いがあり、その人独特の個性があります。この展示では2つの体験型コンテンツを通して、「歩き方」から個人を特定したり、年齢を推定したりする技術を体感することができます。この技術は、JST CREST「歩容意図行動モデルに基づいた人物行動解析と心を写す情報環境の構築」プロジェクト(研究代表者:八木 康史)で研究しているもので、カメラで撮影した歩く姿を数学的に解析し、人物の特徴を読みとります。
ここで体験できる技術は現在も研究が進行中で、あなたの一歩一歩が研究データとして蓄積され、研究開発に活かされます。「歩き方」から個人がわかる未来の情報環境を、ぜひみなさんの足で感じとってください。


出展者インタビュー

アルクダケでわかるあなたの健康度 ~認知能力計測~

正方形のマットの上で足踏みをしながら、目の前のモニターにつぎつぎと表示されるクイズに答えていきます。このシステムは、2つの動作「歩く」「考えて答える」を同時に行うようすを解析することで、「脳の健康度」を判定します。
高齢になり、歩行能力が低下すると、認知症のリスクが上昇するともいわれています。このシステムは、認知症の判定やリハビリ効果の確認など、健康管理の新たな手法として活用が期待されています。
研究開発:大倉 史生、丹羽 真隆、満上 育久、八木 康史

アルクダケでわかるあなたの歩き方 ~歩容個性計測~

緑の歩行路をまっすぐ歩いてください。何気なく歩いても、腕の振り方や歩く速度、歩幅などの特徴が、あなたらしい「歩き方」をつくり出しています。
歩くという動作は、左右二歩分で繰り返される全身運動です。カメラがあなたの歩く姿を撮影し、繰り返す運動を解析することで、あなたの「歩き方」の個性を知ることができます。また、過去の千人以上の体験者の「歩き方」と比較することで、あなたの「歩行年齢」も推定できます。体験により「歩き方」のデータがさらに増えると、年齢以外にもあなたのさまざまな情報が推定できるようになります。
研究開発:奥村 麻由、岩間 晴之、青木 千尋、木村 卓弘、槇原 靖、八木 康史

アルクダケでわかる犯人の存在

街中に設置された防犯カメラの映像から犯人の足取りがわかり、逮捕につながるケースが増えています。しかし、ヘルメットや覆面で犯人の顔が見えない場合、犯人の特定は容易ではありません。
このソフトウェアは、犯人が歩く映像と、犯人と思われる人物が歩く映像を比べて、同一人物かどうかを判定する世界初のシステムです。「歩き方」で個人を特定することができれば、顔がはっきりわからない場合でも犯人を特定することができます。このシステムにより、放火未遂事件の犯人の特定につながった事例もあります。今後、さまざまな犯罪捜査に活用されることで、犯人逮捕に大きく役立つことが期待されています。
研究開発:岩間 晴之、木村 卓弘、村松 大吾、槇原 靖、八木 康史


公開時期 2015年7月15日(水)~2016年4月11日(月)
出展者 科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業(CREST) 「歩容意図行動モデルに基づいた人物行動解析と心を写す情報環境の構築」
  • 研究代表者: 八木 康史 (やぎ・やすし)

    大阪大学 理事・副学長 / 産業科学研究所 複合知能メディア研究分野