メディアラボ第11期展示「フカシギの数え方」

常設展示「メディアラボ」は、情報科学技術による表現の可能性を、定期的な展示更新を行いながら紹介していくスペースです。 11期の展示タイトルにある「不可思議(フカシギ)」とは、万、億、兆、京などと続く数の単位で10の64乗のこと。実は、電車の乗り換えや電気の配電網など、さまざまな組み合わせの中から最適なものを選ぼうとすると、その選択肢は10の64乗という膨大な数になることも珍しくありません。超高速アルゴリズムは、こうした膨大な組み合わせの中から最適な答えを計算によって効率的に導き出します。その計算の「技」や、この「技」で私たちの未来はどう変わるのかを体感します。


出展者インタビュー

展示解説

とにかく「数え上げ」るべし!(見習い)

重複も抜けもなくすべてを数え上げるためには、どんな工夫ができるでしょうか。コンピュータが0 と1 だけですべてを捉え、数え上げているところにもヒントが隠されています。人間の数え方との違いに注目してみましょう。 すべてを数え上げるのはとても大変ですが、数え上げておくことでそれまで気づかなかったことに気づくこともできます。

「組み合わせ爆発」を感じるべし!(門下生)

数えるものが少し増えるだけで、その組み合わせは膨大な数になります。これを「組み合わせ爆発」と呼びます。爆発した結果、1不可思議(10 の64 乗)個の組み合わせになってしまうと、1秒間に1京(10 の17乗)回の処理ができるコンピュータがあったとしても、およそ3 千澗(10の39乗)年かかります。宇宙が誕生してから約137 億(10 の8 乗)年と言われています。このままでは宇宙が終わるまでに数え上げることができそうにありません。

同じところを2度通らない道順の数

おねえさんといっしょ! みんなで数えてみよう!

「圧縮」の極意を知るべし!(初段)

とてつもなく大きくなった「組み合わせの木」も、怖がらずによく見てみると、さまざまなことに気づきます。同じようなかたちをしている部分がたくさんあったり、どちらを辿っても同じ結果に行き着いたり。この発見が「圧縮」につながります。 「圧縮」への発見には、人間ならではの直感と柔軟さが活躍します。膨大に見える組み合わせも工夫次第で何億分の1にも圧縮することができ、とても計算できないと思っていたものが扱えるようになります。

奥義「圧縮」炸裂!(師範代)

「圧縮」で組み合わせの木がどのように変化するのか、実際に体験してみましょう。

「圧縮」が切り拓く未来(師範)

私たちにとって身近なアミダクジや畳の敷き詰め方を考えることが、新薬の開発や災害対策につながっています。コンピュータがすべてを扱えるわけではありませんが、人間の知恵「圧縮」によって、私たちの生活も大きく変わるかもしれません。皆さんがここで得た気づきは、これまで不可能だと思っていた計算や表現が可能な未来を実現するヒントになるでしょう。


公開時期 2012年8月1日(水)~2013年4月15日(月)
出展者 JST ERATO湊離散構造処理系プロジェクト