メディアラボ第1期展示「表現する研究者たち」
メディアラボは、通常の展示物とは異なり、汎用性の高い可動型の展示壁(メディアウォール)により構成される空間で、展示用途を限定しません。シンプルな中にも機能性を満たした設計となっており、情報科学技術や来館者のニーズの変化に伴い、展示物やレイアウトを変化させることはもちろん、来館者の皆様の反応などを反映しながら、自在に新しい空間をつくることができます。 メディアラボのオープニングに際しては、4月24日(木)より8月31日(日)まで、「表現する研究者たち」と題した展示を行ないます。 アートとテクノロジーとサイエンスの融合から生まれ、従来のアートの枠組みに挑戦する取り組み"デバイスアート"の世界を紹介します。
出展者インタビュー
フローティングアイ(2001)
岩田 洋夫
筑波大学大学院 システム情報工学研究科 教授
フローティングアイは、「自分の眼が体を離れて宙を舞う」という、非日常的な体験を私たちにもたらします。球面ディスプレイの中に入ると、あなたの視点は飛行船にのり移り、自分を見下ろします。
この不思議な感覚は、自分の身体の存在について新たな認識をもたらすでしょう。糸を引いて飛行船を操り、ドームスクリーンと一緒に歩き回れば、頭上の微妙な空気の流れを体感できるはずです。
筑波大学大学院 システム情報工学研究科 教授
ロボットフォン(2000)
稲見 昌彦
慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授
ただのクマのぬいぐるみではありません。目の前のクマを動かすと、画面の中のクマも同じように動きます。このクマはエアホッケーゲームのコントローラになり、身振りや手振りを伝える電話にもなります。
ロボットフォンはこうした、ロボットを用いた新しいコミュニケーションを提案します。
慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授
サッカード・ディスプレイ(2007)
サッカード・ディスプレイは、目を動かした瞬間だけ見ることができるディスプレイです。 人間の眼球は、無意識のうちに、自分が見たいと思う方向へものすごい速さで動いています。この現象が「サッカード」です。これを利用すれば、たった1本の光点列から2次元のフルカラー画像を提示することが可能になります。空を見るための望遠鏡(2006)
八谷 和彦
メディア・アーティスト
一見、なにも映ってないように見える上空のモニタを、紙製の望遠鏡を使って見てみてください。メディア・アーティスト
私たちの目は、私たちが生きている環境に特化して進化してきました。ですから「物理的に光があるのだけど、 脳内には像が見えない」ということもあり得ます。これはその原理を応用して作られた作品です。 使っているのは、日常的に使われている液晶モニタをほんの少しだけ改造したものです。肉眼では像が見えま せんが、紙製の望遠鏡を通すことで「小さな飛行機」のテストフライトを見ることができます。
モルフォタワー(2006)
児玉 幸子
アーティスト、電気通信大学准教授
螺旋形をしたタワーの表面を、のこぎりの歯のような形をした液体の棘が、重力に逆らって回転しながら昇っていきます。漆黒の液体の正体は「磁性流体」。磁性微粒子を油性の溶液の中に分散させているため、磁場によって意図する形を保持したり変化させたりすることができます。
テクスチャー(表面の質感)が変化し、液体がダイナミックに脈動する造形は、新たな生命感を生み出し、先端素材による新しい芸術表現を開拓します。
アーティスト、電気通信大学准教授
ノック! ミュージックプログラム(2007)
土佐 信道
アーティスト
「ノックミュージックプログラム」は、ノック!音楽を体験できる楽器(デバイス)を使って遊ぶことで、テクノロジーの進化とデジタル技術について段階的に学べるプログラムです。
ステップの発達段階はテクノロジーの進歩の歴史と対応していて、プログラムを体験することで、自然にその進歩の足取りをたどることができます。
アーティスト
ヴォモーダ(2000)
クワクボ リョウタ
メディア・アーティスト
私たちはコミュニケーションするときに、会話の内容に表情(視覚)や声(聴覚)など異なる感覚を関連づけて相手の心を理解しようとします。そのため、それが本来の組み合わせとは違っていたとしても、私たちは無意識のうちに両者をつなぎ合わせてしまうのです。
メディア・アーティスト
3Dディスプレイキューブ(2006)
ジェームス・クラー
アーティスト
この3次元ディスプレイは、メガネなどを使って見る立体映像ではなく、実際に3次元の像そのものを描く作品です。空間に配置されたドットは1000個の白色LEDです。そこに、コンピュータ上で作成された3次元コンピュータ・グラフィックスをそのまま映し出しています。
アーティスト
公開時期 | 2008年4月24日(木)~2008年8月31日(日) |
---|