日本科学未来館は、新しいビジョンを描く力、そして多種多様な人との共創によっておこるイノベーションに注目しています。
「ビジョナリー」とは、未来へのビジョンを持ち、実現に向けて周囲を巻き込んで、自ら行動できる人のこと。先行きの見えない混とんとした今の時代こそ、ビジョナリーが求められています。本プロジェクトは、そうした若い才能を発掘・支援するために始動しました。
全国の応募者から選ばれた15~26歳の37名が、「未来館ビジョナリーキャンプ」に参加し、研究者・クリエイターなどの専門家と、アイデアや知識を交換しながら、未来のコミュニケーションやテクノロジーについて議論し、プレゼンテーションを行いました。
優秀賞を受賞した3チームは、研究者・クリエイターからの助言で自発的に考えながら、クリエイターと一緒にアイデアを形にしたプロトタイプを制作します。その成果を2019年10月から未来館の常設展に展示しています。
テクノロジーの進化によって、
コミュニケーションのかたちは変化を繰り返してきました。
新しい技術がうまれるたび、
それまで出来なかったことがあっさりと出来るようになり、
会話のかたちも、生活習慣も、社会との関わり方も変わっていきます。
考えてみれば、私たちの行動すべてがコミュニケーションである、
とも言えるかもしれません。
皆さんは約10年後、テクノロジーを使って
どんなコミュニケーションを実現したいですか?
キャンプ参加者 動画による
応募開始
キャンプ参加者 決定
キャンプ開催 優秀チーム決定
優秀チームがプロトタイプ制作
未来館の常設展示で
展示オープン 1年間展示
国内外で巡回予定
3月に開催したアイデアワークショップで選ばれた3つの優秀チームはこちら。各チームには、研究者・クリエイターのペアがメンターとしてサポートしました。ビジョナリーたちはアイデアをブラッシュアップするディスカッションを重ね、クリエイターと共に展示をつくりあげました!
2030年、家族のかたちは多様化し、離れて暮らす家族もますます増えていく。一方で、個人が直面する孤独や辛さを乗り越えるために必要なのは、今と変わらず家族のあたたかなつながりだと考えました。「つながり」を離れていても感じるための新しいメディアを、一人ひとりの記憶や希望に合わせて提供することを提案しました。
研究者
みなみざわ こうた南澤 孝太
[慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(教授)]
感覚を共有する身体性メディアの研究
クリエイター
さいとう たつや齋藤 達也
[インタラクティブアートディレクター / 作家]
UCLA芸術学科、東京芸術大学大学院修了、デザイン事務所 Abacus を設立。人間の知覚や認知についての洞察とメディアテクノロジーによるその拡張を研究の軸として、コマーシャル、プロダクト、テレビ、書籍、展示等多岐にわたる領域で表現活動を行なっている。著書に『指を置く』(美術出版社・佐藤雅彦との共著) 『うごく!カードアニメーション』(コクヨ S&T) 等。文化庁メディア芸術祭優秀賞、NY ADC 金賞、D&AD、グッドデザイン賞、one show ゴールド、釜山国際広告祭金賞、アジア太平洋広告祭金賞、L’Oreal 色の科学と芸術賞銅賞、フランス Laval Virtual グランプリおよび科学技術賞。ARS ELECTRONICA CENTER(オーストリア)、現代イメージセンター(ジュネーブ)、21_21 DESIGN SIGHT、NTT InterCommunication Center、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)、等国内外で展示多数。東京芸術大学より博士号 (映像メディア学)を授与
現在も多様なコミュニケーションツールがありますが、それは未来も変わらないでしょう。しかし、未来においても、言いたいことすべてが正しく伝わるツールをつくるのは難しく、コミュニケーションの完成形は存在しないでしょう。そのことを理解し、受け容れることが必要だ、とチームは考えました。
研究者
わたなべ かつみ渡邊 克巳
[早稲田大学理工学術院(教授)]
人の心と無意識の研究
クリエイター
パーフェクトロン
[クワクボリョウタと山口レイコによるアートユニット]
クワクボリョウタ(筑波大学大学院芸術研究科修士課程終了、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー卒、現同大学准教授)と山口レイコ(筑波大学大学院芸術研究科修士課程終了)による、生活と実験のアートユニット。2001年に活動を開始し、国内外で作品を発表。日常に潜む興味深いルールを探し、遊具的要素を使って体験出来るかたちにする制作活動を行う。 参加した展覧会に個展『ひかり・くうかん じっけんしつ』(2012年、NTT Inter Communication Center)、『デザインあ展』(2013年、21−21 DESIGN SIGHT)、『コメ展』(2014年、同)、『単位展』(2015年、同)などがあり、『デザインあ展』(2018年、富山県立美術館、日本科学未来館)では作品制作とともに展示構成も手がける。また、TV番組『デザインあ』(NHK Eテレ)では、コーナー企画映像を制作する。
2030年に30歳前後になるこのチームは、仕事と子育てを両立したいという願いを持っています。テクノロジーがその両立を支える一方で、テクノロジーに頼った育児は親の存在意義を否定するとも考えました。そこから、テクノロジーの利用は個人のアイデンティティや価値観に影響をおよぼす可能性がある、利用者はそのことを認識して、テクノロジー利用に関する葛藤の気持ちを大切にしながら利用の可否を決める必要があると考えました。
研究者
やまぐち まさみ山口 真美
[中央大学 文学部 心理学研究室(教授)]
顔認知・赤ちゃんの発達研究
クリエイター
まつやま しんや松山 真也
[エンジニア、デザイナー、テクニカルディレクター]
高等専門学校を卒業後工学部に進み、多摩美術大学でデザイン修士を取得。テクノロジーとデザインの両方を学ぶ。光や水、泡といった制御の難しい自然現象を活かした作品を発表しながら、アーティストの技術、インタラクティブ展示のエンジニアリング部分を担当する。コンセプトを実現させるために、エンジニアリングだけではなく、企画やデザインの視点で、最適なデザインとテクノロジーの組み合わせを提案・実装を得意とする。子供の誕生日プレゼントをオリジナルで開発するなど、世の中にないものは自分でつくってしまう。2006~2012年までテクノロジーアート集団MONGOOSE STUDIOに、現在はクリエイティブチームKAPPESに所属しミラノサローネサテリテなどに出品。フリーでは日本科学未来館はじめ全国のミュージアムや各種展示のクライアントワークも行う。
3月23日、24日、30日に、「未来館ビジョナリーキャンプ」を開催しました。参加者は、選考を通過した15歳から26歳の37名。テーマは、「2030年のコミュニケーション」。参加者同士が知り合うアイスブレイクから始め、各自が「コミュニケーション」について考えを深めました。また、ゲストスピーカーたちによる刺激的なトークを聞いて、未来について想いを巡らせました。最終的にはチームをつくり、ビジョンとアイデアをつくっていきました。この3日間で、同世代の仲間、そして研究者・クリエイターが熱い議論を交わしました。
日本科学未来館は、いま世界に起きていることを科学の視点から理解し、私たちがこれからどんな未来をつくっていくかをともに考え、語り合う場です。自分自身で触れて楽しむことのできる展示をはじめ、実験教室やトークイベントなど多彩なメニューを通し、日々の素朴な疑問から最新テクノロジー、地球環境、宇宙の探求、生命の不思議まで、さまざまなスケールで現在進行形の科学技術を体験いただけます。
本プログラムは、ブルームバーグL.P.のご協賛により、STEAM教育(※) 発展、ビジョナリー育成のために提供されています。
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ブルームバーグのフィランソロピー&エンゲージメント・プログラムは、「ブルームバーグ・フィランソロピーズ」による活動の一環として、より多くの人々がより豊かでより長い人生を謳歌できるように、さまざまな取り組みを支援しています。「ブルームバーグ・フィランソロピーズ」の詳細については、こちら(英語)をご覧ください。
STEAMとはScience、Technology、Engineering、Arts、Mathematicsの頭文字をとったもの。 従来の科学技術教育、理数教育、芸術教育を統合·体系化し、イノベーションを生み出す人材の育成を目指すものです。EU、米国、アジア諸国で、最優先課題としてSTEAM教育への取組みが進められています。