2011年3月、福島第一原子力発電所の事故で放射性物質が飛散しました。

5年後の現在、県民の被ばく状況や健康状態を把握するために大規模な健康調査が行われています。被ばくの影響として甲状腺がんのリスクが懸念されており、18歳以下の子ども(被ばく時)に対しては甲状腺検査を実施しています。この結果をめぐっては、日本全国平均と比べてがんの発生率が高いという見方があるなど、様々な議論が続いています。

一方で、放射線被ばくによるリスク以外にも、福島では避難生活によるストレスや運動不足などがもたらす健康の悪化も懸念されていて、様々なリスク要因を総合的にとらえる視点の必要性も指摘されています。

本イベントでは、低線量被ばくによる発がんリスクについて、科学的に解明されているのはどこまでなのか、過去の研究から探ります。また、被ばく以外の発がん要因を見比べた上でこれらのリスクとどのようにつき合うべきか、リスクを減らす社会を作るためにいま何をしなければならないのか、講師として疫学の専門家と、被災地域の医師を招き、異なる立場からの意見を聞きながら皆さんと一緒に話し合います。

ゲストスピーカー

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津田敏秀

岡山大学大学院環境生命科学研究科教授

1985年岡山大学医学部医学科卒業。1989年岡山大学大学院医学研究科修了。岡山大学医師学総合研究科講師などを経て、2005年岡山大学大学院環境学研究科教授。2012年より現職。疫学という方法で、福島県の検診データを解析し著しい甲状腺がんの多発を示す。今後福島県で甲状腺がんの増加を予測。

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越智小枝

相馬中央病院内科診療科長

1999年東京医科歯科大学医学部医学科卒業。膠原病内科の臨床医として東京で10年ほど勤務。2011年インペリアルカレッジロンドン 公衆衛生大学院への留学が決まった直後に大震災があり、留学中に相馬市の仮設健診などに参加。WHOのインターンを経て現場を知ることの重要性を知り、2013年11月より相馬へ移住、現職に至る。

企画・ファシリテーション

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新山加菜美

日本科学未来館科学コミュニケーター

開催日時
2016年3月12日(土) 14:00~16:00
開催場所
日本科学未来館 7階会議室3
対象
どなたでも参加できますが、内容は中学生以上向けです。
定員
約80名
参加費
無料
主催
日本科学未来館
問い合わせ先
日本科学未来館
Tel: 03-3570-9151(代表)