World Wide Viewsとは
いま私たちは、気候変動や食糧問題など地球規模の課題をいくつも抱えています。国連などの国際交渉の場では、各国の政府関係者や専門家が集まり、これらの対応策についての議論が行われています。しかし問題は複雑に絡み合い、解決は必ずしも容易ではありません。
地球全体に関わる課題をどう解決するか、そのゆくえは、世界中のすべての人に影響するものです。政治家や専門家だけでなく、地球に暮らすあらゆる市民が知恵を絞る必要があるのではないでしょうか。
世界市民会議World Wide Viewsは、デンマークのテクノロジーアセスメント機関であるDBT(Danish Board of Technology/デンマーク技術委員会)の呼びかけで2009年に始まった試みで、地球規模課題を解決するための国際交渉の場に世界市民の声を届けることを目的としています。
World Wide Viewsの特徴
1. 世界中で同じ日に開催
それぞれの国で100人の市民が集い、いっせいに議論します。第一回のWorld Wide Viewsは「地球温暖化」をテーマに、2009年9月26日に38か国で開催されました。2回目となる今年のテーマは「生物多様性」。2012年9月15日、29か国での開催が予定されています(2012年7月現在)。
2. 会議の方法は世界共通
参加者はあらかじめ送付された世界共通のテキストを読み、その情報をもとに、世界共通の手法でグループディスカッションを行います。その後、世界共通の設問に対して、自分の意思を投票します(詳しくはこちら)。
3. 参加するのは "ふつうの市民" 100人
会議には、専門家や活動家ではない一般の方々約100人が参加します。この100人は、性別、年齢、職業、居住地域などがその国の縮図となるように招待されます(一般募集は行いません)。参加者は事前に送付されたテキストの情報をもとに議論を行い、投票によって意思を表明します。
4. 結果が国際政治の場に届けられる
各国の投票結果は、10月にインドで開催される生物多様性第11回条約締約国会議(COP11)で提示されます。国際的な政策形成に一般の人々の声が取り入れられるようにすることは、World Wide Viewsの目的のひとつです。
テーマ
World Wide Viewsのテーマとして選ばれるのは、地球規模の課題です。今回のテーマは「生物多様性」。生物多様性とは、小さな微生物から大きな動植物まで、地球上に生物が多種多様に存在することを意味しています。しかし現在、人間活動によって生物多様性は深刻なダメージを受けています。20年以上前から条約締約国会議(COP)などの場で議論が行われてきましたが、生態系の保全をどの程度行うか、その資金源をどうするかなど、依然として多くの争点があります。
今回のWorld Wide Viewsでは、生物多様性が私たちの生活にもたらす意味や、その保全のためにはどのような取り組みを行うべきかなど、市民目線で話し合います。
(生物多様性について詳しくはこちら)
(1) まず、そのセッションのテーマに関する映像資料を見ます。
その後、「設問」が提示されます。
(2)100人の参加者は6~7人ずつのグループに分かれ、ファシリテーターの進行のもと、示された設問について、資料の内容や自身の経験などをもとに議論を行います。
(3)グループ内のさまざまな立場や考え方を聞いて議論を行ったあと、設問に対する自分の意思を投票します。
(4) 残り4つのセッションでも(1)~(3)を繰り返します
(5) 投票結果は、参加国の時差に応じて順次World Wide Viewsのオフィシャルサイトで公開されます。
イラスト: Niels Bo Bojesen