メタンハイドレートはその膨大な量と、温度・圧力の変化に敏感なことから、地球環境の変動に大きなインパクトを与えてきたと考えられている。メタンハイドレートとして固体になっているメタンの量は、大気中の二酸化炭素の炭素量の20倍に当たる。つまり、メタンハイドレートのわずか10%が分解してメタンが大気に放出されただけで、大気中の二酸化炭素の量は2倍に増えることになる。

過去の最も劇的な事件では、約5500万年前に起こった海洋生物(有孔虫)の大量絶滅が知られている。長期にわたる火山活動が大量の溶岩を噴出し、それとともに放出された二酸化炭素が温暖化を進める。温暖化はメタンハイドレートを分解し、メタンが海洋と大気に放出される。

海洋に放出されたメタンは酸素を奪って海水中の酸素濃度を低下させ、大気に放出されたメタンは地球温暖化を加速する。このような温暖化加速の連鎖が、ついには有孔虫の大量絶滅という破局的な結果を生んだと考えられている。こうした大量絶滅をはじめとする地球変動の原因を明らかにすることは、地球の未来を予測する上で非常に重要である。

メタンハイドレートの存在量は膨大であり、また、メタンの温室効果が大きいことから、取り扱いを誤れば地球の炭素循環を狂わせ、温暖化をもたらすなど、地球環境にとって大きな影響を与えると考えられる。開発にあたっては、掘削によるメタンハイドレート層の崩壊に注意するなど慎重を期す必要がある。


約5500万年前の、海洋生物の大量絶滅と温暖化の図式
火山の噴火による温暖化がメタンハイドレートを分解し、海水中の生物の大量絶滅と、さらなる温暖化を促した

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