松本教授は、メタンハイドレートの存在が広く知られる前の状況について次のように語る。
「人工のメタンハイドレートは1950年頃からよく知られていましたが、それが天然にも存在するとはだれも思いつきもしませんでした。しかし、1980年代初めの深海掘削[★1]で氷状の塊が採取され、それがあった海底下の地層の温度・圧力条件やガスの種類などを調べてみると、合成でつくられたメタンハイドレートと同じ物質であることがわかってきたのです」。
メタンハイドレートが新しいエネルギー資源として、また、地球科学の研究分野として注目を集めるようになったのは、この20〜30年のことなのだ。

メタンハイドレートが安定して存在するのは、“低温で高圧”という特殊な環境条件に限られる。温度0℃の環境では23気圧以上の圧力が必要で、1気圧では温度を−80℃まで下げないと生成しない。また、適当な温度・圧力条件で過剰なメタンと水が存在すればただちに生成が始まり、条件が変わると簡単に分解する。日本の海域では、水深500mより深い海底の地下200〜500m付近に分布している。

メタンハイドレートの存在量は、メタンの量を炭素換算で合計すると、石油、石炭、天然ガスを含む全化石燃料の2倍のおよそ10兆トンに相当すると見積もられている。その存在は世界中で確認され、エネルギーの安定供給の面からも世界各国が注目している。


メタンハイドレートの世界分布図
海域・湖沼域のメタンハイドレート試料採取地点
陸域(永久凍土域)のメタンハイドレート試料採取地点
海域・湖沼域のメタンハイドレート推定採取地点
陸域(永久凍土域)のメタンハイドレート推定採取地点

[★1]1980年初めの深海掘削

深海底をボーリング掘削する国際深海掘削計画の研究航海

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