4 推進される“ユニット化”とは? 値段と機能のバランスを考えた賢いロボットのつくり方

1体数万円の家庭用ロボットの市場は、すでに成功例もある。しかし数十万、数百万円の市場拡大はこれからだ。製作コストをいかに低くして開発をシンプルに効率よくしていくか。そのためにはすべてのメーカーの技術をつなぐ共通の規格(基盤)が必要となる。

比留川 ── いまのよくあるロボットづくりの弊害をお話ししましょう。あるロボットをつくるとき、原価1000万円などすぐにかかってしまう。これで買ってくれませんかとお客さんにもっていく。でもこれではダメで、この機能ならお客さんは100万円しか出さない。ならば、100万円でつくれるかどうか検討するのがまず最初に必要なアプローチなのです。思いついた機能を全部載せる。大きさも成り行き。値段も成り行き。それで販売しようとしてもなかなかうまくいきません。

先川原 ── 国産掃除ロボットの開発時にも、ストーブに接触しないように熱感知センサーをつけたり、コーナーでノズルを出す装置をつけたりと、ハイスペックになっていくうちに単価が上がり商品化を断念したと聞いたことがあります。

比留川 ── いまロボットの実用化を産業技術総合研究所を中心に企業に働きかけています。2010年には、10億円規模で売れるロボットが100種類つくられる状況にもっていきたい。そのために必要なのが、技術の“ユニット化”[*注4]です。今、ユニット化を可能にする基盤技術を、産業技術総合研究所が提供しようと開発を進めています。基盤が整えば複数の企業の部品を組み合わせてユニットを作れるようになるのです。

ロボット単一製品あたりの年間売上規模10億円はしばらく変わらないでしょう。ロボット技術も急激には発展しない。ならば、研究開発コストを下げて、製品単価を下げる。そのために安価なパーツをつくる。このふたつなら、短期的に実現できる可能性があるのです。

先川原 ── fuRoも、ロボットのプラットフォームとなるようなロボット用の良い部品をどうしたら世に出せるかを考えています。良い部品は、メーカーの開発動機になるのです。

比留川 ── 近藤科学さんのサーボモーターは、産業ロボット分野から見ても見習うべきものがある。あれはモーターの次のかたちを実現しています。モーターとギアとアンプが一体となっていて、そこにコマンド(命令)と電力を送ればいい。でもいまの産業ロボットはそうなっていない。モーターがあってアンプは外。その間に配線を引かなければならない。電源とデジタルネットワークだけ与えればよい一体型が、最近やっと出てきたところです。

*注4 技術のユニット化(モジュール化)
ロボットはさまざまな部品、技術が統合されたシステムである。ロボットをつくろうとすると機械機構技術や電子回路技術、センサー技術、制御技術、ソフトウェア技術などあらゆる技術を駆使する必要があり、簡単ではない。そこでロボットを部品や機能ごとのモジュール(ユニット)に分割し、組み合わせて必要なソフトをインストールするだけで簡単に目的のロボットを作れるような規格を作ろうという考えがある。そのような規格があれば、まるで自作PCを組み立てるごとく、自分の目的に合ったロボットを簡単に組み立てることができるようになる。


近藤科学のサーボモーター
モーター、ギア、モーターアンプを一体化し、小型高トルクを実現。複雑な配線も必要なく、接続ケーブルをコントローラーと接続するだけで、双方向シリアル通信によりコマンドによる位置制御、教示が可能となり、ロボットのモーションコントロールがかんたんになった。

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