3 最初に成功した市場はホビーとエンタメ? 楽しみの中で成長したロボット産業

製造ロボット以外のロボットで、すでに成功しているロボット産業の最たるものはホビーだ。近藤科学のKHR-2HVはそれだけで今までに無かったひとつの市場を築いたといえるだろう。その成功の鍵は?

先川原 ── 近藤さんがロボットを始めたきっかけは、1種類のサーボモーターがやけに売れると気づいたことでしたね。ROBO-ONE[*注2]が2002年に始まりましたが、それを機にして。サーボモーター[*注3]はクルマだと2〜4個ですが、ロボットは1体に20個も使われます。壊れるのですぐに買い足される。こうしてホビーストの意見がメーカーに反映され、メーカーがジャイロセンサーも含め良いパーツをつくって、またそれがホビーストを増やすという、良い循環がありましたね。

近藤 ── 近藤科学はもともとクルマのラジコンメーカーです。これがだんだんアナログからセンサーを搭載したデジタル制御に変わってきて、サーボモーターを製造するようになったのです。ラジコンから取り入れた技術をロボットに転化できました。でもロボットはもっと技術が深い。こんどはロボットで学んだことをラジコンにフィードバックしています。今後は操縦ではなくて自律で動作するホビーづくりをしていく方針です。

比留川 ── 現在のロボット技術が提供できるサービスとその供給価格が、市場で受け入れられている数少ないカテゴリーのひとつが、このホビーです。そこにはハードだけではなく、ソフト、つまり遊び方の創出が並行して必要ですが、ROBO-ONEはその成功例です。競技性のある遊びは盛り上がります。サッカー競技もありますね。1メートル短距離走などもいいのではないでしょうか。

先川原 ── こどもにロボット触らせると、戦わせようとするんですよね。原初的な遊びなのですね。それがROBO-ONEを支える原動力になっている。2002年の第1回大会に出場したロボットは3歩あるいたら倒れるという感じだったのが、2回、3回と続けるうちに普通に起きあがることができるようになり、新しい競技の世界が生まれました。どんなところから成功して新しいニーズが生まれるかわからないし、10年後はどうなるかわからない。

近藤 ── ROBO-ONEという目標があったから性能が上がったんだと思うんですよ。他のロボットを見ると目標が漠然としているがゆえに先に進まないような気がします。

*注2 ROBO-ONE
ホビー用2足歩行ロボットのバトル競技。2002年に、ロボットの楽しさを広く普及する目的で、西村輝一氏(ROBO-ONE委員会代表)や先川原氏らが始めたイベント。“人型”に限定したのが急速な技術の進歩に拍車をかけた。参加者には、ふだん、仕事などでロボットの研究開発を本業にしている人々も多い。韓国の釜山などアジアでの大会も行われ、2010年には宇宙大会も予定されている。
>→ROBO-ONEオフィシャルサイト
>→ROBO-ONE宇宙大会オフィシャルサイト



*注3 サーボモーター(→サーボ機構)
サーボ機構は、物体の位置や向きを制御する機械システム。コントローラー(プロセッサが演算を行う部分)、サーボアンプ(コントローラーからの指令を受けてモーターを制御する部分)、サーボモーター(数値制御で動作するモーター。トルクをかけたまま静止などが可能)から成る。

2 どんなロボットが欲しいですか? 市場で求められるロボット像とは?

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