特集 深海の科学  >  3人の研究者による3つの研究
3. 知られざる微生物の研究 ビジュアルサマリー

(5)Bの仮説 「死んでいる」説



(上)ゲノム配列の図
(下)ジオバチルス・カウストフィラス

2004年12月、深さ11000mのマリアナ海溝の底の泥から採取した好熱菌性細菌ジオバイチルス・カウストフィラスのゲノム配列が解読された。現在、この微生物の耐熱性酵素開発への利用などが研究されている。
活性の低い海底下の堆積物に存在する微生物、それが果たして生きているのか死んでいるのかが、今、研究者たちの議論を二分している。そんななか、高井氏のグループでは、どちらの説が正しいかを明らかにしようとしている。「死んでいる」と考えると一見おもしろくないような感覚になるが、一方ではこれまでにない考えが生まれてくる。つまり、「死んでいる」ほうが、生命の過去の歴史がきれいに保存されている可能性が高いからである。

地殻内の堆積物から死んだ生命を採取してDNA解析などの研究を進めることで、生命の歴史がひもとかれ、極限環境の地球、たとえば、白亜紀(1億5000万年前〜6500万年前)の温暖化時代や、スノーボール・アース(7億年前の、氷河期の全球凍結)の時代に、生命がどのように生き延びたのかを解明することができるかもしれない。

2006 (C) NATIONAL MUSEUM OF EMERGING SCIENCE AND INNOVATION