特集 深海の科学  >  3人の研究者による3つの研究
3. 知られざる微生物の研究 ビジュアルサマリー

(4)Aの仮説 「ハイパースライム」説


「ハイパースライム」説を支える微生物たち(1)
360℃以上の高温でも存在する超好熱メタン菌「メタノカルドコッカス」(高井氏分離)



「ハイパースライム」説を支える微生物たち(2)
超好熱水素酸化硫黄還元菌「バルネアリウムリソトロファム」(高井氏分離)



「ハイパースライム」説を支える微生物たち(3)
超好熱メタン菌「メタノパイラス」
高井氏のチームは、2004年、インド洋中央海嶺で発見された熱水活動域の微生物群集構造の解析を行った結果、「ハイパースライム説」を提唱した(2004年)。「ハイパースライム(Hyper-SLiME)」とは、「超好熱性地殻内化学合成独立栄養性微生物生態系」を意味する[※]。

これは、光や酸素のない地殻で、地球内部のエネルギーにのみ依存して生きる微生物の生態系のこと。地球内部のエネルギーとは、この場合、水素、メタン、硫化水素、一酸化炭素、二酸化炭素を指す。
地球内部のエネルギーに依存し、岩を食べて生きる微生物。つまり、“地球を食べて生きる”微生物の生態系である。

インド洋の熱水噴出孔の下は水素の含量がとても多く、40億年前の地球によく似た環境にある。“地球を食べて生きる微生物”の解明は、原始地球の生命起源の解明につながるかもしれない。

※「ハイパースライム」説は、アメリカ・コロンビア川岩石帯深部の地下水から発見された水素と二酸化炭素に依存して生きるメタン菌と酢酸菌の解析にもとづき提唱された「スライム(=SliME。地殻内化学合成独立栄養性微生物生態系)」説(1995年提唱)の深海底版として注目される。

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