放射能の基礎知識

質問: 放射線データはどれをみればいい?

文部科学省を中心に環境中及び水道水、食品中の放射線の強さが発表されていますが、単位がまちまちですし、放射性物質の種類もいろいろで、整理できません。生活上の影響を考えるときに何をどのように評価すれば良いのでしょうか。(50代男性・東京都)

回答:

放射線は生活上どのような影響を与えるのか、いつ避難すればよいのかを判断するためには、個々の家庭の地域や家族構成などを考慮しながら、常に最新の情報をモニタリングしておきたいものです。しかし発表されている多くのデータは数字ばかりの見づらいもので、なかなか整理できません。そこで、有志の研究者などによるおすすめの情報をご紹介しましょう。

まず、お住まいの地域での放射線の影響を考えるにあたり、データに優先順位をつけましょう。第1に大気中の放射線量、第2に水道水中の放射線量、第3に食品への影響です。避けなければならないのは放射線の体内での被ばくですから、体に取り込まれる空気、水、食物に気をつける必要があります。

大気中の放射線については、早野龍五氏(東京大学理学部)によるグラフがおすすめです。毎日更新されており、たとえば4月22日までの関東地域の放射線量は、このようになっています。


3月16日に大きく上がっているのがわかるでしょうか。これは15日の水素爆発で漏れた放射性物質が、風によって運ばれてきたものです。その後減少していますが、これはこの空気中に大量に含まれているヨウ素の半減期が8日で、時間がたつと少なくなっていくからです。
 
では、21日あたりの跳ね上がりは何でしょうか。これは降雨だと考えられています。空高く舞い上がっていた放射性物質が雨とともに落ちてきて、地上の放射線レベルが上がってしまったのです。これも時間がたつとだんだん減っていますね。つまり、15日の水素爆発以来、放射線物質はあまり飛んできていないということかもしれません。この「一度に大きく跳ね上がって、その後は減少する」という傾向を頭に入れておけば、空気中で何が起こっているのかわかりやすいですね。

参照:本サイトの「放射性物質マップ」もご利用ください。
 
次に水道水です。こちらは文部科学省のデータをもとに自動更新しているサイトがおすすめです(下記リンク)。全国の水道の放射能値の推移が一目でわかります。関東地方であれば水道局が直接公開しているデータをもとにしていますので、更新が早いです。東京にお住まいの方には何森直氏(株式会社RNA)による浄水場ごとの水道の放射能値もおすすめです。基準値が一目でわかります。

参照:satoru.netによる自動更新サイト「全国の水道の放射能濃度」
参照:何森直氏(株式会社RNA)による「都内の水道中の放射能調査結果」
参照:早野龍五氏(東京大学理学部)による放射線量(全国版、関東版、北海道・東北版があります)
参照:本サイトの「放射性物質マップ」もご利用ください。
 
最後に食品への影響ですが、自治体の検査が集約されているのが厚生労働省です。最新情報は各自治体のホームページへ。ここでは早野氏のグラフをご紹介しましょう。



このように分布図にすることで、例えば「放射性物質は奥羽山脈を越えなかった」ということがみえてきます。

参照:早野龍五氏による「野菜のヨウ素131はどこでいつ検出されたか」


執筆:科学コミュニケーター 林田美里
2011/04//22 掲載

 


関連リンク

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