福島第一原発の放射能汚染

質問: 原子炉からの水蒸気で放射能の雨は降る?

原子炉から水蒸気が発生しつづけていますよね。その中に放射性物質は含まれているのですか?また、その水蒸気が雲になって雨を降らせたり、放射性物質が雨に混ざって降ったりすると危険ではありませんか?(20代男性・埼玉県)

回答:

雨に濡れると被ばくするのでは、と心配になるのも無理はありません。たしかに水蒸気は、原子炉や使用済み核燃料の貯蔵プール付近から出ています。原子炉が停止しても燃料棒の発熱は続いており、内部に残された冷却水や放水による海水が蒸発しているからです。まわりの放射性物質と一緒に外部に出ていますので、この水蒸気は有害であるおそれがあります。

まず、放出された水蒸気が雲になり、雨を降らせるという心配はほとんどありません。しかし、水蒸気に含まれる放射性物質がその後どうなるのかが問題です。気象条件によって風下に運ばれますが、どんどん薄まりながら移動します。仮に、福島原発から数十キロメートルのところで高濃度であったとしても、数百キロメートル遠方ではほとんど検出できないくらいまで薄められるのです。

ここで雨が降るとどうなるでしょうか。雨粒とともに空気中の放射性物質は地上に降下してきます。文部科学省のサイト(下記の関連リンク参照)で公表している都道府県別の定時降下物(雨や塵のこと)の分析値をみれば、どの程度放射性物質が降下しているかがわかります。例えば、降雨のあった3月21日には、茨城県ひたちなか市で1キロ平方メートルあたり9万メガベクレル以上のヨウ素が検出されました。法律により立ち入りが制限されるのは、1キロ平方メートルあたり4万メガベクレル以上の区域ですから、かなりのレベルの放射線量が検出されたことになります。

ただし原発事故後の水素爆発によって大量に放出された放射線物質は、そのときに降った雨によりすでに降下しており、最近では雨が降っても放射線量の上昇はほとんど観測されていません。念のため、傘や雨がっぱなどの対策があってもいいのですが、今はさほど神経質になる必要はないといえるでしょう。


執筆:科学コミュニケーター 早川知範
協力:日本地球惑星科学連合
2011/04/05 掲載



関連リンク

 文部科学省で公開されている上水(蛇口水)のモニタリング
 文部科学省で公開されている定時降下物のモニタリング