放射能の基礎知識
質問: ミネラルウォーターに放射性物質?
市販のミネラルウォーターも、取水場所によっては高濃度の放射性物質を含んでいるのではないですか?(30代男性・東京都)
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回答:
「ミネラルウォーターに放射性物質」と聞いて、驚く方もいるかもしれません。しかし、放射性物質は自然界に存在するもので、実は私たちは食べ物から1年間に約290 マイクロシーベルトの放射線を浴びています。
ミネラルウォーターに含まれるミネラルの成分はカルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウムなどです。これらのうち、カリウムにはカリウム40という放射性物質が含まれ、カリウム1 gあたり30.4 ベクレルの放射能を示します。
市販の水は放射性物質の濃度が国際的に定められていますが、ミネラルウォーターに含まれるカリウムの量は商品によって異なります。取水場所によって、1 Lあたり少ないものでは1 mg以下、多いものでは50 mgを超えるものもあります。
ミネラルウォーターが1 Lあたり50 mgのカリウムを含むとすると、 ミネラルウォーター1 Lのカリウムによる放射能は
(50÷1000) g × 30.4 ベクレル/g = 1.52 ベクレル
となります。カリウム40を1 ベクレル飲んだときの身体への影響は
6.2×10-9 シーベルト
なので、上記のミネラルウォーター1 Lのカリウム40による体への影響は
1.52 ベクレル × 6.2×10-9 シーベルト/ベクレル = 約9.4×10-8 シーベルト = 0.094 マイクロシーベルト
となります。
また、ミネラルウォーターとともに身体に取り込まれたカリウムは時間がたてば排泄されるため、カリウム40がどんどん体内に蓄積されていくわけではありません。ミネラルウォーターの放射線量は十分低いといえるでしょう。
執筆 : 科学コミュニケーター 高田真希 2011/04/01 掲載
関連リンク緊急被ばく医療研修のホームページ「内部被ばくに関する線量換算係数」
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