福島第一原発の放射能汚染

質問: たまり水のヨウ素134はなぜこわい?

3月27日の午前8時の東電の発表で、福島第一原発の2号機のたまり水からヨウ素134がみつかり大騒ぎになりました。なぜこのヨウ素がみつかるとよくないのですか?発表資料のよみ方がわかりません。(30代男性・東京都)

回答:


おたずねの「ヨウ素134」は、ほうれん草や水道水などに含まれ問題になっている「ヨウ素131」とは種類の違うヨウ素ですね。「ヨウ素134」も放射性を示しますが、なぜこのヨウ素がみつかるとよくないのでしょうか。

まず、発表された表はこれです。これは、福島第一原発の1号機から4号機のタービン建屋でたまっている水の中で計測された放射性物質の量です。

一番左側の列にリストされているのが、検査された放射性物質です。これで、原子炉運転中に炉内で生成された放射性物質が、外部に漏れていることがほぼ確定的になりました。

さて、この表をどうみるかですが、表中のオレンジの箇所に注目してください。「I-134」とはヨウ素134のことです。3列目の「2.9×109」とは、2号機において1 立方センチメートルの中で毎秒29億回ヨウ素が検出されたことを示しています。これは、他と比べてみても大変大きな数字で、ヨウ素134が多く出ていることがわかります。しかし、問題はこの量だけではありません。

「I- 134」の横の数字に注目してください。「(約53分)」とは半減期とよばれる時間のことで、生成後これだけ時間がたてば、このヨウ素134が半分に減りますよ、という意味です。つまり、核分裂後約1時間でこの放射性物質の量は2分の1になり、約2時間で4分の1になり……そして原子炉停止から2週間以上が経過している現在、計測されない量になっているはずなのです。それなのにヨウ素134が前述されたようにたくさん検出されたということは、停止しているはずの核分裂反応がまた始まってしまった(再臨界)ということで、関係者は愕然としました。(ヨウ素131の場合は半減期が8日と長いですので、たくさんみつかっても問題ではありません。)

しかし東京電力は同日夜に、この数値を間違いとして修正しました。これが修正後の表です。

2列目が修正前の数値、3列目が修正後の数値です。「検出限界未満」とあり、結局は検出できないほど小さい数字でした。つまり、これは再臨界を示すものではなかったことがわかります。

このように核分裂生成物質を計測することで、原子炉内の状況がある程度推測できるのです。


執筆:科学コミュニケーター 林田美里
2011/03/29 掲載



関連リンク

3月27日 経済産業省プレスリリース
3月28日 経済産業省プレスリリース