放射能と身体

質問: 水道水に含まれる放射性物質の種類は?

水道水に含まれる放射性物質が話題になっていますが、どのような放射性物質がどのような性状で含まれているのですか。性状によって対応が変わるのではないですか。(50代女性・東京都)

回答:

厚生労働省がとりまとめた報告(下記の関連リンク1を参照)によると、水道水から検出された放射性物質は、放射性ヨウ素と放射性セシウムです(2011年4月26日現在)。
これらが水道水に入り込む経路は、大気→環境水→浄水場→水道水です。大気中の放射性物質が河川などに溶け込み、浄水処理をすりぬけて水道水に残ったのです。図1のように、粒子状のヨウ素やセシウムは浄水処理で取り除かれますが、イオン化したものや、有機物と結合したヨウ素が水道水に残ることがあるからです。


図1 大気、環境水、水道水中の放射性ヨウ素・放射性セシウムの形態



ただ、個々の浄水場の浄水処理の仕方によっても、水道水への残り具合が変わります。表1に、浄水場で行なわれている処理方法別に、放射性ヨウ素や放射性セシウムがどれくらい除去されるのかを簡潔にまとめました。「簡潔」と書いたのは、除去率はさらに水のpHや消毒に使われる塩素濃度など物理的・化学的条件によっても変わるからです。


表1 浄水場での浄水処理方法による放射性物質の除去率の違い


表1は、国立保健医療科学院水道工学部「浄水プロセスにおける放射線物質の除去性能に関するレビュー」(下記の関連リンク2を参照)より。

また、放射線医学総合研究所の発表によれば、浄水処理を経て、家庭に届いた水道水から放射性ヨウ素が取り除けるかを試した実験によると、逆浸透膜を使った浄水方法が有効だったと報告されています。 

どうやら逆浸透が一番効果がありそうですが、実際に検出された放射性物質は、一時的に摂取しても健康に影響がおよぶことがないレベルでした。したがって、浄水場の浄水処理方法を変えたり、家庭で逆浸透膜を使うことを奨励するといった対応はとられていません。


執筆:科学コミュニケーター 村嶋恵
協力:日本医学放射線学会

2011/5/3 掲載


関連リンク

1)厚生労働省 - 水道水中の放射性物質に関する検査の結果
2)国立保健医療科学院 - 浄水プロセスにおける放射性物質の除去性能に関するレビュー
放射線医学総合研究所 - 水道水中のヨウ素-131の除去について