原発の基礎知識

質問: 原子炉をなぜ冷やす?

原子炉は正常に停止されたのに、なぜ冷やす必要があるのですか?(30代女性・大阪府ほか)

回答:

停止したならもう大丈夫、と考えるのが普通ですね。しかし実際には原子炉が停止しても、中の燃料棒の発熱自体をすべて止めることはできません。一部の発熱反応
が継続して進行するからです。原子炉が停止した時点では、運転時の6.5パーセントの発熱があります。この割合は、原子炉の運転年数にもよりますが、一時間後に約3パーセント、一日後に約0.5パーセント、一週間後に約0.3パーセントと減っていきます。しかしその後は何か月もの間、微量でしか減少しません(グラフ参照)。
※核分裂反応は完全停止しますが、運転時の核分裂反応によって生成された放射性物質が出す放射線による発熱(「崩壊熱」)を指します。

発熱のパーセント数は小さく見えますが、この熱が燃料棒にとどまると、熱くなって溶解してしまうことになります。そこで水で冷却することが必要になるのですが、今回のように冷却装置の電源が停止してしまうと、発熱が進んで水がどんどん蒸発してしまうことになります。これは原子炉内の燃料棒のみならず、使用済み燃料プール内の燃料棒についても同じで、継続的な冷却が必要です。

発熱量は1ヶ月単位ではなかなか減らないため、長期戦となることが予想されます。ようやく確保された電源で早急に冷却装置を復活させることがとても重要なのです。







執筆:科学コミュニケーター 林田美里
2011/03/25 掲載

2011/05/16 追記


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