電気・電力の基礎知識

質問: 電力、なぜ交流?

電力はなぜ交流なのですか?直流にすれば、周波数の違う系統間の電力のやりとりの問題は解決します。パソコンなどの電気製品は、直流で動作しています。なぜ、家庭のコンセントに交流の電気を送り、わざわざ直流に変換する手間をかけるのでしょうか? (40代男性・栃木県)

回答:

まず直流と交流をおさらいしてみましょう。電池を想像してみてください。プラス極とマイナス極があり、電流はプラス極を出てマイナス極へ流れます。この時、電流の向きは変わらず一定です。この電流を直流といいます。一方、ご家庭のコンセントから取る電流のように、流れる向きが周期的に変化する電流を交流といいます。また、周期が1秒間にどれくらい変化するか示す値を周波数といいます。

ご指摘のように、現状では周波数が異なるため、東日本と西日本で電力のやり取りはできません。静岡県の富士川から新潟県の糸魚川付近を境に東日本では50ヘルツ、西日本では60ヘルツの周波数で送電されているので、周波数を変換せずに電力を融通しあうことはできないのです。

では、なぜ直流ではなく、交流で電気を送るのでしょうか? 送電する効率面から考えてみましょう。送電の際、電気の一部は熱になって失われてしまいます。これを電力損失といいますが、流れる電流が大きくなるほど、この損失量は大きくなります。そのため、電力損失によるロスを減らすには、送電する際の電流を減らす必要があります。電力とは下記の式で表されます。

  電力 = 電圧 × 電流

つまり、少ない電流で効率的に送電するには、電圧を高くする必要があります。では、交流と直流はどちらが電圧を高くしやすいのでしょうか? 交流の場合、変圧器を用いれば比較的容易に電圧を上げ下げすることが可能です。実際、発電所でつくられる電気は27万5千ボルトから50万ボルトという高電圧ですが、送電途中にある変電所の変圧器で徐々に電圧を下げて、最終的には電柱に設置された変圧器で100ボルトや200ボルトに変換されて、私たちの家庭に届けられるのです。一方、直流で送電すると仮定した場合、

  直流を交流に変換 → 変圧器で交流の電流を変圧 → 交流を直流に変換

という手順を経るため、設備費、スペース、変換時のエネルギーロスの増加につながります。
日本でも北海道と本州の間など一部では直流による送電も行なわれていますが、交流送電が主流となっています。


執筆:科学コミュニケーター 久保暢宏
2011/04/15  掲載



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