電気・電力の基礎知識

質問: 電気はこまめに消すべき?

節電のため、照明の電源をこまめに切ることを心がけていますが、再び電源を入れるときには余分に電力がかかると聞きます。そのため、照明を使う時間が短い場合は、電源を切らない方がかえって電力がかからないと思います。電源を切るのが効果的なのは、何分以上使用しない場合なのでしょうか?(20代男性・東京都)

回答:

例えば、1日に何度もスイッチをON、OFFする蛍光灯の電力について、実際に計算してみましょう。ここでは、家庭の照明としておなじみの32形のリング型をした蛍光灯の場合を考えます。取り付ける照明器具も、ごく一般的なインバーター方式とします。

電気店で売られている蛍光灯はJIS規格に準拠しています。JIS規格のデータシートをインターネットで調べれば、蛍光灯の電気的な特性を知ることができます。これによると、スイッチをONにした際、蛍光灯が点灯するまでの間、最大で3秒間にわたり消費電力が通常点灯時の約2.2倍になることがわかります。ここでは計算を単純にするため、蛍光灯をつける際に3秒間ずっと消費電力が2.2倍になるものとします。

下図を使って、蛍光灯をつけっぱなしにする場合と、こまめに消す場合の消費電力を比較してみましょう。図(A)は蛍光灯がつけっぱなしの場合の消費電力を表わします。これを、1とします(1 秒あたりエネルギーを1使うということ)。一方、図(B)はスイッチをONにした後の3秒間だけ、消費電力が2.2となり、蛍光灯がついた後は1になることを意味します。
 


スイッチをONにした後の3秒間の電力量は2.2×3秒で合計6.6です。これは、蛍光灯を6.6秒間つけっぱなしにした電力量と等しい値です。つまり6.6秒以上、照明が不要ならば消したほうが節電ということになります。

蛍光灯と並んで、家庭でよく使用される白熱球はどうでしょうか? 白熱球の場合は、球内のフィラメントを加熱して光にするため、蛍光灯よりも多くの電力が必要となります。白熱電球のメーカーのホームページからデータを調べると、フィラメントが十分に加熱されるまで約70ミリ秒間、最大で8~12倍の消費電力となることがわかりました。上記の蛍光灯と同様に考えると、約 0.8秒以上、照明が不要ならば消した方が節電だと計算できます。
さらに、最近普及し始めたLED照明は、スイッチON時の電力増分はほぼゼロといって良いものです。躊躇せずに消しましょう。

以上のことより節電のためには、照明が不要になった時に、すぐ消すことが一番といえます。
照明以外の電気製品も、気になったらインターネットなどを活用し調査すると良いでしょう。節電は月々の電気代にも反映されます。どれだけ節電できたかを、電気代から評価してみるのも楽しいでしょう。


執筆:科学コミュニケーター 外口慶樹
2011/04/14 掲載



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