原発の基礎知識

質問: 原子炉の安全性の考え方とは?

原子炉はどんな安全の考え方でつくられているんでしょうか。不測の事態にも、自動的に停止するような設計になっていると聞きますが。

回答:

たとえばご家庭の石油ストーブでも、振動を感じて自動的に消火する機能がついていますね。このように、なんらかの原因で装置やシステムに障害が発生したときに、「安全の側」に自動的に作動することを「フェイルセーフ(=落ちても安全に)」といいます。では、原子炉はどのようなフェイルセーフの考え方でつくられているのでしょうか。

まず、地震などの不測の事態になると、原子炉を安全に停止させることが必要です。たとえば福島原発では地震感知器が震度5 強の揺れを感知すると、自動的に制御棒を挿入するように設計されています。制御棒には、炉内の核分裂という反応を停止する役割があるからです。このフェイルセーフ機能は今回の地震でも自動作動し、原子炉は停止しました。

しかし原発の場合、核分裂を停止させるだけでは充分ではありません。残された燃料棒は加熱を続けますので、冷却する必要があります。この理由から、自動で非常用炉心冷却装置が発動するように設計されています。また、この装置を作動させるための外部電源が確保できない場合、非常用ディーゼル発電が自動起動するようになっています。

このように原子炉には何重ものフェイルセーフ機能が備えられているのです。しかし今回の震災は、福島原発の想定を上回るものでした。津波に対して最大5~6メートルという想定で対策はなされていたものの、14メートルにも達するといわれる津波を受け、非常用炉心冷却装置も非常用ディーゼル発電も停止してしまったのです。フェイルセーフは重要な考え方ですが、想定される震災の規模については、見直しが課題となるでしょう。また、ストーブの消火とは違って、燃料棒は一度火をつけたら消すことができません。この性質についても留意し、今後の原発を考えていく必要があります。


執筆:科学コミュニケーター 林田美里
2011/03/30 掲載




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