電気・電力の基礎知識

質問: 西日本から電力を送れないか?

首都圏では電力が足りず計画停電が行なわれていますが、西日本の余った電力を東に送ればいいんじゃないですか?

回答:

「電力が足りない」とさかんにいわれていますが、まずは実際どのくらい足りないのかをみてみましょう。この夏の東京電力管内の消費電力予測は、最大5500万キロワット。それに対して現在(3月24日)の供給力は3650万キロワット。確かにかなり足りませんね。
それなら西日本の発電所と東京電力管内を電源ケーブルで接続すればいいのでは、と誰もが思うかもしれません。ところが、そう単純なものではないのです。

大きな壁となっているのが、東西で使われている電源周波数の違いです。東日本では50ヘルツ、西日本では60ヘルツ。境目は、静岡県の富士川から新潟県の糸魚川付近です。この違いは明治時代に発電機が輸入された際、東日本がドイツ製の50ヘルツの発電機を、西日本がアメリカ製の60ヘルツの発電機を採用したことに端を発します。このため、東西の境目を越えて電力融通を行なうためには「周波数変換所」という施設で、周波数を変更する必要があるのです。現在、周波数変換所は静岡県にある佐久間周波数変換所、東清水変電所、長野県にある新信濃変電所の3カ所が稼働しています。

しかし周波数変換所では、送ることができる電力の量が限られており、現在のところ合わせて100万キロワットの供給しかできていません。3月25日、東京電力は休止中の火力発電所を運転再開させるなどして、夏までに4650万キロワットまで増加させる見通しを発表しました。
いずれにせよ、夏の電力不足は避けられそうもありません。日々の節電はもちろん、この夏は風鈴や浴衣など、電力を使わずに涼む先人の知恵を今一度みなおしたほうが良さそうですね。


執筆:科学コミュニケーター 外口慶樹
2011/03/26 掲載



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東京電力プレスリリース 2011/03/25