原発の基礎知識

原発とは


私たちが日々使っている電力は、自然界にある様々なエネルギーを利用してつくられています。化石燃料を燃やして発電する火力発電、水の流れのエネルギーを 利用する水力発電、そして原子力発電では文字どおり原子力から電気をつくっています。それでは原子力とはいったいどのようなエネルギーなのでしょうか?

核分散で得るエネルギー

自然界では、水素は水素のまま、炭素は炭素のまま、多くの物質はその物質のまま何も変化しないのが普通です。しかし、ある物質が別の物質へ変わってしまうこともときおり起きています。そのとき原子核の中に秘められていたエネルギーが、熱エネルギーとなって現われるとともに、一部は放射線という形で出てきます。

原子力発電所では、ウランという物質の原子核を分裂させて、エネルギーをつくり出しています。ウランのなかでもウラン235という種類の物質を集め、自然界ではほとんど核分裂をしないウラン235が核分裂する、特殊な状態を人工的につくっています。ウラン235を分裂させると、ヨウ素やセシウム、クリプトン、バリウムなど、別の物質に成りかわるとともに放射線を放出し、同時に大きな熱が発生します。その熱を利用して発電するのが原子力発電のしくみです。

原発が総電力の3割をまかなう現状

今日本には、このような原子力発電所50数基が稼働しています。総発電量の3割を占める原子力発電は、日本の基幹エネルギーの一翼を担っています。一方で原子力発電所の持つ課題も指摘されています。その課題のうちのひとつに、ウランが分裂してできたさまざまな放射性物質があります。ウランが消費されてしまったあとに残される使用済み核燃料からは、大量の放射線が出つづけるため、長期間どこかに安全に閉じこめておく必要があります。

科学技術のもたらす利益と危険性、両面から科学的に考えていきましょう。


執筆:科学コミュニケーター 池辺靖
2011/3/25 掲載