地震・津波の基礎知識

質問: 地震の揺れの長さはどれくらい?

地震はなぜ数分程度で揺れが収まるのですか?数時間揺れつづける、といったことはありえないのでしょうか。数日間揺れが続いた、という記録が残っていたりしないのでしょうか。(30代男性・神奈川県)

回答:

今回の東北地方太平洋沖地震(M9.0)では、福島県いわき市小名浜の観測点で、震度4以上の揺れが約3分10秒続いたとの報告があります。それに対して、1995年の兵庫県南部地震(M7.3)では、強い揺れは15秒程度だったそうです。

その違いはどこから来るのでしょうか。地震の揺れの長さは、断層運動(岩盤のずれる動き)の長さによります。地震の規模はマグニチュードという値で、断層面の面積と変位(ずれ)の大きさから求められますが、それに関して、地震のマグニチュードと継続時間との関係を調べた報告があります。これによると、通常の地震では、マグニチュードが1上がると継続時間は3倍になるそうです。

しかし、ここで「通常の地震」と述べたのは、そうでないものもあるからです。地震の中でも「海溝型」と呼ばれるものは、プレート間の滑りが原因で起こりますが、この滑りが非常に遅く、ゆっくりと起こるものがあります。それは、「スロースリップ」(ゆっくりすべり)と呼ばれています。このスロースリップには、地震計で観測可能なものもあれば、不可能なものもあります。後者は、GPSなどによる継続的な位置の変化により観測されます。

スロースリップの中で長く続いたものとしては、1994年の三陸はるか沖地震(M7.6)の際、本震にひき続き起こったアフタースリップ(余効すべり)が約1年間続いたとの報告があります。このスロースリップは、最終的に地震本体のマグニチュードを上回ったようです。

ちなみに、このスロースリップは非常にゆっくりであるため、変位量をもとにしたマグニチュードが大きいのに対し体感的な震度は小さく、両者の間に大きな差が生じます。しかし、変位量が大きいものは、たとえ震度が小さくても津波を引き起こすことがあり、「津波地震」と呼ばれます。

例えば、約2万2千人の死者を出した1896年の明治三陸大津波では、その原因となる明治三陸地震のマグニチュードは8.2〜8.5であったと推定されていますが、各地の震度は最大で3程度でした。しかし、その揺れは5分間も続き、その30分後には海抜38.2 メートルの高さまでかけ上った大津波が押し寄せたのです。この地震は津波地震の代表例で、スロースリップに含めることができます。


執筆:科学コミュニケーター 西原 潔
協力:日本地球惑星科学連合
2011/06/08 掲載



関連リンク

気象庁 - 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震時に震度計で観測した各地の揺れの状況について」
東京大学 - 「ゆっくり地震のスケール法則」