地震・津波の今後

質問: 津波浸水域の予想マップはあるの?

マグニチュード8クラスの余震が起きたときに備える、岩手・宮城・福島の津波浸水域の予想マップはないでしょうか?(40代女性・宮城県)

回答:

東日本大震災後、M5以上の余震が430回を超えました(5/1現在)。規模の大きな余震にともなう津波の発生に、まだ予断を許さない状況です。東北地方の太平洋側は、地震の発生確率が高いとされていたため、津波浸水域も想定した防災マップが一部自治体のホームページで公開されています。

宮城県東松島市 - 「防災マップ」
宮城県松島町 - 「津波による浸水想定マップ」


このような防災マップは過去の災害に学んだ「想定」のもとにつくられます。実際、津波想定マップは、過去最大といわれる1793年に発生したM8.2程度の宮城県沖地震(連動型)と同等の規模を見積って作成されています。しかし3月11日の本震はあまりにも大きい「想定外」のものでした。

今回「想定外」という言葉を多く耳にしましたが、過去の「想定外」が未来の災害を防ぎます。実際、1611年の慶長三陸津波の教訓から備えていた宮城県南の沿岸部の街道と宿場町のほとんどは、今回浸水しなかったことがわかっています。この地域は、「想定外」を経験した過去に守られたといえるかもしれません。

河北新報 - 「先人の知恵、浸水防ぐ 宮城県南「浜街道」 東北大調査」


すでに未来を守る「想定」は動き始めています。
国土地理院が今回の震災で津波によって浸水した範囲を調査し、561平方キロメートル(仙台市の約7割、山手線の内側の面積の約9倍)におよぶ浸水範囲概況図(4/18付)を発表しました。

国土地理院 - 「津波による浸水範囲の面積(概略値)について(第5報)」
同 - 「浸水範囲概況図」


これは衛星画像や飛行機程度の高さから撮影した空中写真を判読したものです。このような全体を俯瞰する情報に加え、測量などの地形調査、津波堆積物や断層を調べる地質調査、さらには過去の最大雨量の実績をもとに計算する雨量解析などから浸水域を予測し、今後の災害に備えます。

想定外をくり返さないために、津波浸水域予想マップなどの想定に基づいた備えが今後の復興の鍵となるでしょう。


執筆:科学コミュニケーター 岡山悠子
2011/05/10 掲載
2011/05/11 追記


関連リンク

地震調査研究推進本部 - 「海溝型地震の長期評価の概要」