地震・津波の基礎知識

質問: 人工地震で巨大地震を防げる?

人工的に小さな地震を起こしてひずみを解消することで、大地震を未然に防ぐことは可能でしょうか?(50代男性・神奈川県ほか)

回答:

まずは、巨大地震で解放されるエネルギーと同じ規模のエネルギーを、小さい地震の積み重ねで解放できると仮定しましょう。今回の東日本大震災の規模はマグニチュード(M)9.0。例えばこれより小さいM7の地震の積み重ねによってM9に相当するエネルギーを解放するとすれば、何回の地震が必要でしょう?

Mが1大きくなると地震のエネルギーは約32倍になりますので、Mが2違うと32倍の32倍で約1000倍。つまり、M9の地震エネルギーを解放するには、M7の地震を1000回起こさなければならないのです。M7といっても大地震です。それが3年間毎日起きつづけるのは現実的ではないですし、人工的な対応が不可能なのはいうまでもありません。

では次に、人工的に起こす地震について考えてみましょう。地下の構造を調べるために人工的に震動を起こす、「地震探査」という方法があります。たとえばダイナマイトなどを使って地表で震動を起こし、はね返り方の違いから、その地盤が固いか軟らかいかなどの構造を推定します。ダイナマイトによるこの方法で調べられる深さは、せいぜい数メートル~数百メートル。これはエネルギーでいうと M0.7程度になります。

Mが1違うとエネルギーは約32倍でしたね。たとえばダイナマイトで起こすM0.7の人工地震とM8.7の巨大地震では、Mに8の違いがあります。エネルギーの差を概算すると、32×32×32×・・・これを8回くり返してみてください。……いったい何回分の地震になるでしょう?


執筆:科学コミュニケーター 岡山悠子
協力:日本地球惑星科学連合
2011/04/08 掲載