常設展の一部リニューアルについて  生命から宇宙まで 先駆的な取り組みを展示に導入

日本科学未来館

《マリア、人工生命、膜、魚》
池上高志 植田工
AOMORIトリエンナーレ2017

日本科学未来館(館長:毛利 衛)は、常設展3階の2つのコーナー「メディアラボ」と「零壱庵」、5階「フロンティアラボ」に新しく展示をオープンするほか、地球ディスプレイ「Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)」と1階の大型ディスプレイのコンテンツ更新を行い、6月20日(水)より一般公開します。

3階にオープンするメディアラボ「『生命』になりたい!ブルックスのジュースを探して」と零壱庵 「Life(Ku-Wall)-no.6」の展示は、いずれも「生命とは何か?」という人類の究極的な問いをテーマとしています。人工知能の発達などにより生命と非生命の境界が不明瞭となるかもしれない未来を前に、生命の存在感や自律性を感じさせるアート作品群を通して、この問いに科学技術とは異なる角度から向き合います。
その他、5階「フロンティアラボ」では、巨大な電波望遠鏡アルマが解明しつつある宇宙の謎を取り上げます。Geo-Cosmosでは、近年の二酸化炭素濃度の推移や大気汚染物質の動きのシミュレーションを地球規模で表現します。1階の大型ディスプレイでは、都心部にフォーカスし、熱環境を高解像度の先駆的な映像で可視化します。

未来館では、2016年に開館15周年を記念し、大規模な常設展のリニューアルを行いました。その後も、日々進展の著しい科学技術分野の動向を常に注視し、部分的な展示の更新を続けています。今回の一部リニューアルでは、科学技術の発展を一因として変化してゆく生命観や地球環境、そして科学技術の発展に伴い見えてきた新しい宇宙を、多面的な手法を用いた展示で紹介します。

1.新展示

メディアラボ第20期 「『生命』になりたい!ブルックスのジュースを探して」

《マリア、人工生命、膜、魚》
池上高志 植田工
AOMORIトリエンナーレ2017

メディアラボは、定期的な展示更新を行いながら、先端情報技術による表現の可能性を紹介し、新しい世界観を提示するスペースです。
第20期のテーマは「生命とは何か?」。AOMORIトリエンナーレ2017(2018年1月、青森県にて開催)に出展された研究者の池上高志氏とアーティストの植田工氏によるアート作品をはじめ、 アートに特化したハッカソン「Art Hack Day 2018(※)」の作品の中から審査員や観客に選ばれた優秀な3点の作品を展示します。
池上氏らの作品は「生命とは何か?」という根源的な問いを投げかけ、Art Hack Day 2018の作品群は、その問いに対する各々の思索を表現します。

※Art Hack Day 2018
アーティスト、研究者、エンジニアらが一堂に会し、4日間でアート作品をつくるイベントです。第4回目をむかえた今年のテーマは「BEING THERE(現れる存在)」。2018年の2月から3月にかけて、約60名の参加者が12チームに分かれ、生命の存在感や自律性を感じさせる作品を制作しました。

会期
2018年6月20日(水)~10月31日(水)
場所
3階「未来をつくる」内 メディアラボ
監修
池上高志(複雑系/人工生命研究者、東京大学大学院総合文化研究科 教授)
複雑系科学や人工生命を研究。カオスをベースとした意識ロボット、自走する油滴実験、生命現象としてのインターネット研究などを行う。アートとサイエンスの領域をつなぐ活動も精力的に行い、大阪大の石黒研究室と共同で制作した「オルタ」(2016年6月より未来館で公開)が、第20回文化庁メディア芸術祭アート部門で優秀賞を受賞している。著書には「人間と機械のあいだ」(講談社、2016)などがある。
展示作品
作品名:「マリア、人工生命、膜、魚」 / 出展者:池上高志、植田工
「Art Hack Day 2018」より
作品名:「Astral Body」 / 出展者:plus one; 長沼大樹、原田誠史、福澤貴之、福谷和芳、堀修生、山本景子、油井俊哉
作品名:「Moment of Perception - 認知の瞬間」 / 出展者:anima; 村越淳、安藤潤人、松崎将大、小谷祐一郎、上嶋萌
作品名:「未確認音源生物」 / 出展者:未確認音源生物特別対策室; DJ Oni、鈴木和真、山本紘暉、鈴木照人
協力
人工生命国際学会「ALIFE2018」

零壱庵 「Life (Ku-wall)-no.6」

《Life (Ku-wall) - no.6》
宮島達男
製作年: 2014 サイズ: 80 x 80 x 15 cm
素材:発光ダイオード、池上プログラムによるIC、マイクロコンピューター、ケーブル、センサー、曇りガラス、ステンレス
Photo by Jack Hems

零壱庵は、アート作品を通して、科学技術とともに変わり続ける人の認識や社会について考えるギャラリーです。
デジタル数字のカウントの表現方法を用い、「生」と「死」というテーマに30年以上向き合ってきた現代美術家 宮島達男氏の作品「Life(Ku-wall)-no.6」を展示します。

展示作品
作品名:「Life (Ku-wall)-no.6」
デジタル数字のカウントにより、「死」を表現した作品。
人工的な数字とアルゴリズムによる表現でありながら、まるで生きている「何か」が、生から死へと変化する様子を通して、鑑賞者に「生命」の本質を問いかけます。
生命のように自己増殖的に変化し続けるアルゴリズムは、池上高志氏が制作。
作家
宮島達男(現代美術家)
1957年 東京都生まれ。1986年 東京藝術大学大学院修了。1988年 ヴェネツィア・ビエンナーレ新人部門に招待され、デジタル数字を用いた作品で国際的に注目を集める。以来、国内外で数多くの展覧会を開催し、世界30カ国250か所以上で作品を発表している。
1990年 ACCの招きでニューヨーク滞在。1993年 カルティエ現代美術財団の招きでパリ滞在。1997年ジュネーブ大学コンペティション優勝。1998年 第5回日本現代芸術振興賞受賞。1998年 ロンドン芸術大学名誉博士授与。2006-2016年 東北芸術工科大学副学長。2012-2016年 京都造形芸術大学副学長。代表作に「メガ・デス」(1999/2016) など。被爆した柿の木2世を世界の子どもたちに育ててもらうアート、「時の蘇生」柿の木プロジェクト(1995~)も推進している。
場所
3階「未来をつくる」内 零壱庵

フロンティアラボ 「アルマで探るみえない宇宙」

アルマ望遠鏡 ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

フロンティアラボは、宇宙や地球深部など、フロンティアへ挑戦し続ける研究者の活動を紹介するエリアです。今回は「深宇宙に挑む」のコーナーにて「アルマ望遠鏡」について取り上げます。
「アルマ望遠鏡」は、南米、チリ共和国のアタカマ砂漠、標高約5000メートルの高地に、日米欧が中心となり建設した電波望遠鏡です。巨大なパラ
ボラアンテナ66台を用いて、宇宙に漂う物質が放出するミリ波、サブミリ波と呼ばれる微弱な電波を受信・解析することで、惑星、銀河、生命の誕生の謎に迫ります。
2013年に本格的な運用が始まってから、多数の成果を出しているアルマ望遠鏡ですが、プロジェクト発足当初は、ミリ波、サブミリ波を地上で高精度に観測することは非常に難しいと考えられていました。その困難を乗り越えるために、日本の精巧なものづくりの技術が大いに貢献しました。本エリアでは、そうしたプロジェクトでのストーリーや、観測から見えてきた最新の研究成果を、実物展示も交えながら紹介します。 ※現在の「すばる望遠鏡」の展示は一部を除いて終了します。

場所
5階「世界をさぐる」内 フロンティアラボ
協力
長谷川哲夫 (自然科学研究機構国立天文台 チリ観測所 上席教授)
鵜澤佳徳 (自然科学研究機構国立天文台 先端技術センター 教授)
平松正顕 (自然科学研究機構国立天文台 チリ観測所 助教)
坂井南美 (国立研究開発法人理化学研究所 坂井 星・惑星形成研究室 主任研究員)

2.コンテンツ更新

「東京ヒートアイランド~東京圏内都市の熱環境シミュレーション」

東京湾周辺の熱環境のシミュレーション

ヒートアイランド現象が進む、東京と横浜における真夏の気温シミュレーション映像です。熱環境は、大気、海洋、生態などの自然現象、人間活動から排出される化学物質などに影響を受けます。さらに都市部は、各地域の建物の位置、高さ、外壁の材質、室外機などの熱源なども加わり、多種多様で難解な要素が相互作用しています。スーパーコンピュータの「地球シミュレータ」は、これらの要素を考慮し、高い精度かつ約5m区画という細かいエリアでの予測を導き出しました。これらのデータは、私たちの健康被害の抑制、都市計画などにも活かされようとしています。

場所
1階 コミュケーションロビー内 大型ディスプレイ
時間
3分(約10分ごとに上映します) 
協力
大西領 (国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球情報基盤センター 主任研究員)
松田景吾 (国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球情報基盤センター 研究員)
荒木文明 (国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球情報基盤センター 主任技術研究員)
川原慎太郎 (国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球情報基盤センター 技術研究員)
杉山徹 (国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球情報基盤センター 技術研究員 )

Geo-Cosmos新コンテンツ 「二酸化炭素濃度の推移、大気汚染物質のシミュレーション」

温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」

二酸化炭素濃度の観測データと大気汚染物質のシミュレーションデータ(化学天気予報)を可視化し、地球ディスプレイ「Geo-Cosmos」で上映します。地球温暖化をもたらすとされる二酸化炭素濃度の推移、大気汚染物質が都市部や工業地帯で発生し国境を越えて拡散していく様子などは、球体上でグローバルに表現された映像として見ることにより、地球の出来事としてよりリアリティを持って捉えていただけるでしょう。

場所
1~5階「地球とつながる」内 「Geo-Cosmos」
時間
11:15~、13:15~、16:15~ (各回約2分)
協力
【二酸化炭素濃度】
松永恒雄 (国立研究開発法人国立環境研究所 地球環境研究センター 衛星観測センター 観測センター長/衛星観測研究室 室長)
【化学天気予報】
滝川雅之 (国立研究開発法人海洋研究開発機構 ビッグデータ活用予測プロジェクトチーム 主任技術研究員)
宮崎和幸 (国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境観測研究開発センター 主任研究員)
関谷高志 (国立研究開発法人海洋研究開発機構 ビッグデータ活用予測プロジェクトチーム ポストドクトラル研究員)

※地球環境に関する科学データの更新について

未来館では、直径6mの地球ディスプレイ「Geo-Cosmos」や、データに自由にアクセスできる「Geo-Scope」などを通して、地球に関するさまざまなデータをご覧いただくことができます。現在40種類以上の国内外の研究機関から提供されたデータを紹介しています。今回の二酸化炭素濃度の観測データや大気汚染物質のシミュレーションのような、継続的な研究により最新の成果が発表された場合には、研究者と連携を取り、データを更新しています。来館者に今まさに地球で起こっていることを直感的に捉えてもらうことを目指しています。

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