新展示「セカイは微生物に満ちている」展示詳細[4月20日(水)公開]

身近な微生物の生態を実感できる未来の居住空間を展示

新展示「セカイは微生物に満ちている」

2022年4月20日(水)に公開する新しい常設展示、ビジョナリーラボ第3期「セカイは微生物に満ちている」の詳細をお知らせします。未来の居住空間を実寸大で設けて植栽エリアを隣接させ、微生物と人間が豊かに共生する、未来の暮らしについて共に考えるための工夫を凝らしました。近年話題となっている「衛生仮説」や「薬剤耐性菌」などに関わるリスクについても紹介します。

本展示では、まず微生物の基本的な情報やヒトにとっての微生物の重要性をひも解きます。そして、ヒトと微生物との共生による未来の快適な生活を、来館者とともに考えることをめざしています。

展示空間は4つのチャプターに分かれています。チャプター1では、「微生物とは何か?」を顕微鏡写真や触って大きさを比べる展示などで解説し、さらにヒトの体のさまざまな部位にいる微生物についても触れています。続くチャプター2では、微生物データを用いた大規模なメタ解析により都市部にあるいくつかの場所での微生物多様性のデータを比較し、その違いを紹介します。また、衛生環境が免疫の発達に影響するという「衛生仮説」や、抗生物質が効かない「薬剤耐性菌」のリスクについても紹介します。チャプター3では、キッチンやリビングを模した実寸大のモデルルームに植栽エリアを隣接させ、居住空間内での微生物の存在を示すとともに、微生物の多様性を高めるアイデアや微生物との共生を可能にする生活のヒントを提示します。最後のチャプター4では、今回のビジョナリー(監修者)である伊藤光平氏がめざす微生物と共生する理想的な都市のビジョンやそれがどのように形成されたのかを、イラストやアニメーション映像で提示します。

本展示では、ビジョナリーのビジョンを深め来館者と共有するために、さまざまな領域の研究者やアーティストが「コラボレーター」として展示制作に参加しています。ぬかの中にいる微生物の状態を教えてくれるぬか床ロボット「Nukabot」(Ferment Media Research制作)、微生物が色鮮やかな花を分解する様子を可視化するアート作品(Mikiko Kamada氏 制作)、微生物多様性が実現されつつある未来都市をテーマにしたSF小説(青山新氏 作)など、ヒトと微生物とが共生する未来を豊かに想像させてくれる作品を展示します。

展示構成

チャプター1 微生物とは?

チャプター1 展示の様子

微生物そのものや、ヒトと微生物の関係など微生物の基本的なことがらを紹介します。パネルでの解説に加えて、電子顕微鏡で映し出した微生物の詳細がわかる拡大写真や、微生物の大きさとヒトの髪の毛の直径を触って比較する展示、体内外の場所ごとにさまざまな微生物が生息する様子をイラストなどで紹介するコーナーがあります。微生物が私たちの体内外に多様に生息していること、ヒトと微生物は切っても切れない関係であることを体感するチャプターです。

チャプター2 暮らしの環境と微生物の多様性

チャプター2 展示の様子

都市の微生物データを用いた大規模なメタ解析により都市部などでの場所ごとの微生物多様性の違いを解説し、生活スタイルの変化の中で、ヒトと微生物たちとのつながりも変化してきている現状が実感できるチャプターです。微生物との触れ合いの減少がアレルギー疾患の発症に影響するのではないかと考える「衛生仮説」や、病原性微生物とヒトとの抗生物質をめぐる攻防のなかで発生する「薬剤耐性菌」のリスクについても、紹介します。

チャプター3 微生物と共生する暮らし

展示空間中央に実寸大のモデルルームを設け、ブラックライト照明演出により、普段目で見ることのできない微生物の存在を浮かび上がらせます。この空間で来館者は微生物の存在を間近に感じることができます。ビジョナリー(伊藤氏)が提案する、住空間内で微生物の多様性を高めるアイデアとともに、さまざまなコラボレーターによる、微生物と私たちとの関係性を再発見・再構築するアイデアも展示します。住空間に植栽エリアを隣接させることで、理想的な住居の屋外環境も提案します。さらにこの居住空間を舞台としたSF小説を鑑賞したり音声で聴いたりすることもできます。来館者は、このモデルルームと実際の住空間を重ねて自身の生活スタイルを振り返り、微生物との共生を可能にする生活のヒントを見つけることができます。

居住空間の展示の様子
植栽展示の様子
Nukabot
Flower Compost

チャプター4 人と微生物が共生する未来へ

ビジョナリー(伊藤氏)のビジョンについて、学生時代から現在までの研究内容をコンセプトの変遷などとともにイラストで紹介し、微生物と人が共生する理想の都市の姿を、アニメーションで示します。

ビジョナリー(監修者)

伊藤光平氏

「微生物との共生社会を実現し、より快適で健康な都市をつくる」
株式会社BIOTA代表取締役。高校時代からマイクロバイオーム(微生物の集まり)の研究に取り組み、慶應義塾大学先端生命科学研究所で都市や建築環境を対象にバイオインフォマティクス(情報生命科学)を用いた研究に従事。卒業後、株式会社BIOTAを設立、「微生物多様性を高める都市デザイン」の事業に取り組んでいる。

コラボレーター

FMR: Ferment Media Research

[ドミニク・チェン氏(早稲田大学文学学術院 教授)、城一裕氏(九州大学 芸術工学研究院 コミュニケーションデザイン科学部門 准教授)、ソン・ヨンア氏(法政大学 デザイン工学部 准教授)、守屋輝一氏(株式会社Studies/デザイナー)、関谷直任氏(デザイナー)、三谷悠人氏(エンジニア)、小倉ヒラク氏(発酵デザイナー)]

ぬかの中にいる微生物とのインタラクションができるロボット「Nukabot」を制作。Nukabotの中に実際にぬか床と野菜を入れて運用し、来館者は野菜のつけ具合やぬかの状況をリアルタイムで知りながら、会話することができる。微生物と人とのコミュニケーションの可能性を伝える。

Mikiko Kamada氏(アーティスト/プランツディレクター)

微生物が色鮮やかな花を分解する様子を、密閉されたガラス容器の中で可視化するアート作品を制作。「分解」する微生物の生態を見せることで、目には見えない小さな共生者の存在を表現します。

青山新氏(小説家)

微生物ネイティブ(microbe native)という新しい世代が現れ、微生物環境に対する認知が広がった未来の都市をテーマにしたSF小説を執筆。展示内にリーフレットとして置くほか、展示空間を回りながら聞けるオーディオ・ノベルとして提供します。

片野晃輔氏、ルプレヒト・クリストフ氏(愛媛大学 社会共創学部 環境デザイン学科 准教授)

居住環境において重要な微生物ソースとなりうる野外の植生を実物の植栽展示として表現。「拡張生態系」や「マルチスピーシズ」の考え方に基づき理想的な住居における屋外環境についてのアイデアを提供します。

「セカイは微生物に満ちている」の開発・制作ご協力いただいた方々

【総合監修(ビジョナリー)】 伊藤光平氏(株式会社BIOTA

【監修協力】 岩崎渉氏(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 教授)、片野晃輔氏、福田真嗣氏(慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任教授/メタジェン)、森田英明氏(国立成育医療研究センター 免疫アレルギー・感染研究部 アレルギー研究室 室長)、ルプレヒト・クリストフ氏(愛媛大学社会共創学部環境デザイン学科 准教授)

【協力】 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター、独立行政法人 製品評価技術基盤機構、株式会社BIOTA(田中大敦氏)、Kishony lab (Harvard Medical School and Technion - Israel Institute of Technology)、Yen Shu Liao (Artwork of Solarpunk Creatures (2021) )

【空間デザイン】 遠藤治郎氏(SOIHOUSE Inc.

【展示実施設計・展示製作施工】 株式会社つむら工芸(森千寿子氏、松本公佑氏、木村潤氏、上妻寿文氏、河上寛氏、鵜飼徹氏、三輪直矢氏、阿部華子氏)

【グラフィックデザイン】 渡邉竜也氏(渡邉デザイン)

【イラストレーション】 カシワイ氏

Nukabot Ferment Media Research: ドミニク・チェン氏(早稲田大学 文学学術院)、ソン・ヨンア氏(法政大学 デザイン工学部)、城一裕氏(九州大学 芸術工学研究院)、守屋輝一氏(KIICHI / 株式会社スタディーズ)、関谷直任氏(デザイナー)、三谷悠人氏(エンジニア)、小倉ヒラク氏(発酵デザイナー)

【アート展示】 Mikiko Kamada氏

【SF小説】 青山新氏

【植栽エリア設計・施工】 吉田葵氏(アオイランドスケープデザイン)、西尾耀輔氏(株式会社 越路ガーデン)

【映像・朗読コンテンツ】 土居誠史氏(有限会社 デンバク ファノ デザイン)

【SF小説朗読】 鹿野優以氏

基本情報

タイトル
ビジョナリーラボ 「セカイは微生物に満ちている」
ビジョナリーラボ
公開日
2022年4月 20日(水)
開館時間
10:00~17:00(入館券の購入は閉館時間の30 分前まで)
休館日
火曜日(火曜日が祝日の場合は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)
展示エリア
日本科学未来館 3階 常設展示ゾーン「未来をつくる」
入館料
大人630円、18歳以下210円
企画・制作
日本科学未来館
お問い合わせ
日本科学未来館
Tel: 03-3570-9151(代表)
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