
note: セカイは微生物に満ちている
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常設展 未来をつくる
展示の概要
身のまわりの微生物に目を向け、微生物と人間が豊かに共生する未来の暮らしについて共に考える展示です。
私たちのまわりには細菌や菌類、ウイルス、原生動物など、目に見えないたくさんの微生物がいます。家や学校にも、私たち自身の体にも多様な微生物が生息しており、絶妙なバランスを保ちながら独自の生態系を作り出しています。
微生物の基本的な情報やヒトにとっての微生物の重要性をひも解き、私たちの住環境における微生物の生息状況を、実寸大の居住空間や生きた植栽で体感しましょう。微生物の多様性を高めるアイデアや微生物との共生を可能にする生活のヒントを提示しています。微生物と共生する理想的な都市のビジョンについて、皆さんとともに考えます。
みどころ・詳細
微生物そのものや、ヒトと微生物の関係など微生物の基本的なことがらを紹介しています。パネルでの解説に加えて、電子顕微鏡で映し出した微生物の詳細がわかる拡大写真や、微生物の大きさとヒトの髪の毛の直径を触って比較する展示、体内外の場所ごとにさまざまな微生物が生息する様子をイラストなどで紹介するコーナーがあります。微生物が私たちの体内外に多様に生息していること、ヒトと微生物は切っても切れない関係であることを体感するチャプターです。
都市の微生物データを用いた大規模なメタ解析により都市部などでの場所ごとの微生物多様性の違いを解説し、生活スタイルの変化の中で、ヒトと微生物たちとのつながりも変化してきている現状が実感できるチャプターです。微生物との触れ合いの減少がアレルギー疾患の発症に影響するのではないかと考える「衛生仮説」や、病原性微生物とヒトとの抗生物質をめぐる攻防のなかで発生する「薬剤耐性菌」のリスクについても、紹介しています。
展示空間中央に実寸大のモデルルームを設けました。ブラックライト照明演出により、普段目で見ることのできない微生物の存在を浮かび上がらせます。この空間で来館者は微生物の存在を間近に感じることができます。ビジョナリー(伊藤氏)が提案する、住空間内で微生物の多様性を高めるアイデアとともに、さまざまなコラボレーターによる、微生物と私たちとの関係性を再発見・再構築するアイデアも展示します。住空間に植栽エリアを隣接させることで、理想的な住居の屋外環境も提案します。さらにこの居住空間を舞台としたSF小説を読んだり音声で聴いたりすることもできます。来館者は、このモデルルームと実際の住空間を重ねて自身の生活スタイルを振り返り、微生物との共生を可能にする生活のヒントを見つけることができます。
ビジョナリー(伊藤氏)のビジョンについて、学生時代から現在までの研究内容をコンセプトの変遷などとともにイラストで紹介し、微生物と人が共生する理想の都市の姿を、アニメーションで示しています。
ぬかの中にいる微生物とのインタラクションができるロボット「Nukabot」を展示しています。Nukabotの中に実際にぬか床と野菜を入れて運用し、来館者はNukabotと、野菜のつけ具合やぬかの状況についてリアルタイムで会話することができます。微生物と人とのコミュニケーションの可能性を考えます。
[クレジット]
FMR:Ferment Media Research [ドミニク・チェン(早稲田大学文学学術院 教授)、城一裕(九州大学 芸術工学研究院 コミュニケーションデザイン科学部門 准教授)、ソン・ヨンア(法政大学 デザイン工学部 准教授)、守屋輝一(株式会社Studies/デザイナー)、関谷直任(デザイナー)、三谷悠人(エンジニア)、小倉ヒラク(発酵デザイナー)]
微生物が色鮮やかな花を分解する様子を、密閉されたガラス容器の中で可視化するアート作品です。日々姿を変える花の様子と「分解」する微生物の生態から、目には見えない小さな共生者の存在を体感できます。
[クレジット]
Mikiko Kamada(アーティスト/プランツディレクター)
微生物ネイティブ(microbe native)という新しい世代が現れ、微生物環境に対する認知が広がった未来の都市をテーマにしたSF小説を、展示内にリーフレットとして置いたほか、展示空間を回りながら聞けるオーディオ・ノベルとして提供しています。
本小説は、展示内の居住空間に住む人々の未来の物語です。微生物と共にくらす日常に広がる風景を想像しながら楽しんでください。
*下記のリンクからオーディオで視聴することもできます。
https://youtu.be/5HsD5bGJYyU
XR技術を使った開発中の没入型ゲームをプレイする仕事(デバッガー)を任された主人公。環境微生物に関する知見を元に設計されたそのゲームを通して、自分と世界とのあいだに新しい関係性を見出していき・・・。
『ココ・イン・ザ・ルーム』を書いた青山新氏が、「ゲーム」を題材として、人と微生物の関わりをこれまでにない新たな視点でとらえたSF小説を書き下ろしました。人と世界、リアルとバーチャルの境界が溶けあう作品をぜひお楽しみください。
このSF小説は展示内にもリーフレットとして置いています。
*下記のリンクからHTML版でもお楽しみいただけます。
HTML版『アウト・ステップ・アウト・ウェイ・アウト』
居住環境において重要な微生物ソースとなりうる野外の植生を実物の植栽展示として表現。「拡張生態系」や「マルチスピーシズ」の考え方に基づき理想的な住居における屋外環境についてのアイデアを提供します。
[クレジット]
片野晃輔、ルプレヒト クリストフ(愛媛大学 社会共創学部 環境デザイン学科 准教授)、吉田葵(アオイランドスケープデザイン)、西尾耀輔(株式会社 越路ガーデン)
[クレジット] ※所属・肩書は展示オープン当時、敬称略