輩出後の活動状況(2)

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環境問題が解決された未来はどんな社会?
対話・協働の場を通して解決策をさぐる

岩﨑 茜さん(国立環境研究所)=2016年3月まで在籍

現在の活動

「研究者と社会の多様なステークホルダーとをつなぐ」

 私が所属する国立環境研究所 社会対話・協働推進オフィスでは、一方向的な情報発信だけでなく、地球環境問題に関わる様々なステークホルダーや市民との双方向の対話や協働を推進しています。環境問題は、「科学だけでは解決できない」ことを多く含んでいて、研究者コミュニティだけではなく、あらゆる立場の方々とコミュニケーションしながらともに社会をつくっていくことが求められています。
 昨年の研究所一般公開イベントの際に企画したサイエンスカフェでは、「環境問題が解決された未来はどんな社会?」というテーマを設定しました。参加者に、国立環境研究所で行われているプロジェクトを分野横断的に紹介し、それぞれのプロジェクトに対して、どんなふうに研究を進めてほしいのか市民側の期待や意見をひろく聞くことができました。一般の方々からの国立環境研究所への声を収集し、研究者もその意見に耳を傾け自らの研究にフィードバックすることを通して、市民と専門家との垣根を越えた信頼関係を築いていくための一歩が踏みだせたと感じています。
 また、国立環境研究所の公開シンポジウムにあわせて開催したステークホルダー対話会合では、企業、NGO、メディア、政治など様々な立場で環境問題に取り組んでいる方々にご参加いただきました。会合では、国立環境研究所が取り組むべき課題に対しての意見、たとえばどれだけ一般の人々の環境意識に訴求できているか、さらには研究成果を社会での実践にまでつなげていくことができているか、など、ステークホルダーの皆様の貴重な視点を共有することができました。環境研究を、社会のどの部分とどのようにつなげていくべきなのか、これからも対話の場を持ち続け考えていきたいと思います。

今後の展望

「異なる立場・考え方の人が理解しあえるコミュニケーションに向けて」

 環境問題には常に不確実性があります。たとえば、地球温暖化がどのように進んでいくか、それに伴い生活にどのような影響があるのか、といったことは科学で100%証明することが出来ません。そんな「不確かさ」が存在することをうまく伝えることは難しいことですが、不透明だからこそ、専門家が一方的にこうしましょうと決定するのではなく、社会の中の様々な人々が、みんなで対話して考え未来の道のりを決めていくことが大切だと思っています。
 日本科学未来館の在籍時には、対話を重視したプログラムやイベントの企画・実施に多く携わりました。お互いの立場や考え方の違いを十分に踏まえたうえで、議論し新たな視点を見つける場をデザインすることは難しいながら、やりがいのある仕事でした。このような経験は、これから環境問題の課題解決に活かしていくことができると思っています。
 最終的には世界中の人々すべてが、環境問題を自分事として考えられるようにしていくことを目指したいと思っていますが、貧困や格差など世界には環境以外にも多くの課題があるのも事実です。これからも、様々な立場・価値観の人々に丁寧に寄り添い、環境問題へのそれぞれの「声」を引き出せるよう活動していきたいと思います。

[インタビュー実施 2017年1月]



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