輩出後の活動状況(1)

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環境教育の立場から、持続可能な社会をつくる"考えられる人"の育成を目指す

松浦 麻子さん(WWFジャパン)=2016年9月まで在籍

現在の活動

「未来館で見つけた道をベースに、持続可能な社会を創るための教育活動に取り組む」

 現在は、国際環境NGOであるWWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)で、普及啓発教育担当として働いています。多くの人にWWFとその活動を知ってもらうための情報発信や、なぜ環境を守り野生動物の命を大切にしなければならないのかを考えてもらうための教育プログラムの開発を行っています。
 このような活動に携わりたいと思ったのは、未来館での経験がきっかけです。未来館の展示場で来館者とお話をしてみると、そもそも、エネルギー問題や環境問題など、答えのない社会課題に対して、自分なりの考えや意見を持てず、他人に意見を求めてしまう人が多いことを感じました。ですが、気象に関わる簡単な実験を通して地球規模課題を考える実験教室を担当した際には、子どもたちに自ら考えることを促せる可能性も同時に見えてきました。そして、次世代を担う子どもたちに対して、「物事を自分なりにとらえ考える」素地を育てていかなければならないのでは、と考えるようになりました。
 最近企画したプログラムの一つに、動物園で動物のフンの臭いを嗅ぎ、嗅覚や想像力を使って野生生物の生態への関心を高めていくワークショップがあります。出張で訪れたある国で、野生のオタリア(アシカの仲間)の群れの強烈な臭いに触れ、「生きるとはこういうことなのだ」と直感的に思い言葉にならない納得感を得た経験がベースになっています。人と同じように"生きている"だけの動物たちが、我々人間によって絶滅の危機に脅かされていることについて、知識だけでなく五感で体感することで理解を深め、自分なりに考えてほしい、という思いをこめました。

今後の展望

「変わらない軸とチャレンジ精神で、粘り強く主体的に"考える"人材を育む」

 持続可能な社会をつくる上で、他の生き物や環境と人間との関わりを考えることは欠かせません。生き物の情報は、ともすると好奇心を満足させるだけの"知識"になりがちです。その情報を単なるトリビアではなく、環境や生き物との関わりを"自分の頭で考える"きっかけになってほしいと考え活動しています。
 WWF以外の場でも、個人の科学コミュニケーターとして主に小学生を対象に理数教育活動を行なっています。教育活動の成果が現れて社会が変わるには、長い時間がかかります。自分の頭で考えられる子どもたちを増やす、という軸はこれからも変わらない一方、時には新しいことにチャレンジする精神をもって、粘り強く活動を続けていきたいと思っています。

[インタビュー実施 2019年2月]



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