本展示は終了しました。

展示概要

梅棹忠夫氏は、理学博士でありながら、精力的なフィールドワークにより収集した膨大な資料を通して、また多様な分野の知識人との交流、対談を重ねて、独創的な視点から世界を読み解きました。情報整理法を解説しつつ、知的活動とは何かを論じた『知的生産の技術』はロングセラーとなっています。

本展では、『知的生産の技術』ができるまでのカードやメモのほか、国内外でのフィールドワークで用いたノート、スケッチ、日記などを展示。その膨大な知的生産の過程と成果を紹介します。また、東京会場では、梅棹氏の未完の書のタイトルでもあった『人類の未来』について、各界有識者のコメントを眺めながら、来館者一人ひとりが人類の未来について考え、メッセージを書き込むデジタルコンテンツを追加します。

さらに会期中には、シンポジウム「未来を探検する知のバトンリレー」を開催します。梅棹氏が描き出した生態史観をもとに世界の動きを振り返りながら、日本の知を築いた知識人、現在第一線で活躍している専門家、未来を創る学生が、世代を越えて人類の未来について語り合います。

「知の巨人」が今を読み解き、未来を探検した知の道具やその方法が、混迷の時代を生き抜く私たちの羅針盤になることを願っています。

展示構成

1.知的生産の現場

梅棹氏による資料整理は、脳内の複雑多様な活動を脳から取り出し、誰でも分かるよう論理的に順序づけるものでした。名著『知的生産の技術』(1969年)に書かれていた方法は、コンピューターが普及した現代においても通用する、知的生産のための基礎教養となっています。ここでは著書ができるまでのカード、メモ(こざね)、原稿などの膨大な資料を公開します。

2.知的生産の成果

世界をあるく

フィールドワークの軌跡を綴ったフィールドノート、スケッチ、収集資料、写真など、精緻な記録から、梅棹氏の民族学者の出発点、文明論的考察の端緒などが見えてきます。

比較文明学

生態学をいかして諸文明を比較した『文明の生態史観』(1957年)は、当時大きなインパクトを社会にあたえ、とりわけ、日本をヨーロッパと対等に位置づけた点は注目を浴びました。梅棹氏の真骨頂がここにあります。

情報産業論

1963年に放送業界の求めに応じて書かれた『情報産業論』は、たとえばトフラーの『第三の波』(1980年)よりもはるかに早い段階で人類の未来を俯瞰していました。梅棹氏の科学的予言が見えてくる章です。

文化開発と研究経営

国立民族学博物館は知的生産の巨大装置です。この創設にまつわる各種の文書、写真、標本などから、梅棹氏の活動の実効性が看取されます。また、開館以後、研究を経営していくうえで次々と打ち出された指針は、今日なお傾聴に値します。

知的生産の技術

『知的生産の技術』(1969年)は、梅棹氏が調査で得た情報をいかに整理するかという自身の体験を広くシェアしようとした名著です。読者からの反響やその返事などから、社会に与えたインパクトの大きさを伺い知ることができます。

3.人類の未来を考える

梅棹氏の未完の書のタイトルでもあった『人類の未来』について、各界有識者のコメントやアイデアと共に、来館者一人ひとりが人類の未来について考え、提言を行うデジタルコンテンツ。東京会場のオリジナルです。

会場風景

スライド 1:
スライド 2:
スライド 3:
スライド 4:
スライド 5:
スライド 6:
スライド 7:
スライド 8:
スライド 9:
スライド 10:
スライド 11:
スライド 12:
スライド 13:
スライド 14:

関連映像

企画展「ウメサオタダオ展」 展示場の様子

基本情報

タイトル
企画展「ウメサオタダオ展 -未来を探検する知の道具-」(梅棹忠夫)
会期
2011年12月21日(水)~2012年2月20日(月)
開館時間
午前10時~午後5時(入館は閉館時間の30分前まで)
開催場所
日本科学未来館 1階 企画展示ゾーンa、シンボルゾーン
休館日
毎週火曜日(祝日、冬休み期間は開館)、12月28日~1月1日
入場料
大人 1,000円、18歳以下 200円
団体8名以上 大人800円、18歳以下160円
※常設展示見学可
※障害者手帳所持者は当人および付き添い者1名まで無料
主催
日本科学未来館、国立民族学博物館
後援
文部科学省
企画監修
ウメサオタダオ展実行委員会