本展示は終了しました。

展示概要

近年、約4000年前に絶滅したと言われている大型哺乳類のマンモスが、地球温暖化の影響で、ロシア連邦サハ共和国の永久凍土から次々と発掘されています。掘り出されたマンモスは、通常の化石などと違い、冷凍状態で出土するため、非常に生々しいのが特徴です。

日本では、冷凍マンモスの頭部(ユカギルマンモス)が2005年夏に「愛・地球博」で初めて公開され、大フィーバーを巻き起こしました。2006年には、未来館をはじめ全国各地でも公開されました。本展では、その「ユカギルマンモス」のほか世界初公開となる「ケナガマンモスの鼻」や、昨年夏、本展のために発掘現場を訪れた調査隊が発見した「ケナガマンモスの皮膚」、そして1977年に完全体で発掘された仔ケナガマンモスの「ディーマ」などを公開。そこから明らかになった、マンモスの本当の姿を紹介します。

永久凍土からマンモスが発掘されてから今日まで、100年以上にわたってマンモスに関する研究は続けられています。世界の生命科学に関する研究機関が『マンモス復活プロジェクト』を立ち上げ挑戦していますが、最新の研究によると、現時点ではこれまでの科学技術だけでマンモスを復活させるのは難しいと分かってきました。

一方で、生命科学の進歩に伴い、研究者はマンモスなどの冷凍状態で発見される動物から、生命のさまざまな情報−遺伝情報やタンパク質情報−を取り出す技術を手に入れました。その情報を用いて、太古に起こっていただろう生命現象を再現しつつあり、ベールに覆われたマンモスの真の姿へ一歩ずつ近づいています。日本では、近畿大学がマンモスの全貌解明へ向けた研究を展開し、その姿を捉えようとしています。

マンモスをはじめとした生命科学研究がもたらす技術革新は、絶滅危惧種の保護やマンモスなどの絶滅種の再生の糸口につながるのみならず、先端医療や食糧問題、地球環境問題などさまざまな分野に役立つ可能性があります。同時に、絶滅種の復活については、倫理的な問題や生態系への影響など、私たちが考えなくてはならないさまざまな課題も存在しています。

本展では最先端生命科学の"今"をご紹介しながら、これからの生命科学のあり方についても考えていきます。

展示構成

展示のコンセプトは、時空を超えたマンモスの物語。「過去」・「現在」・「未来」の3つの展示ゾーンを通して、マンモスの生きた太古の時代、気候変動の影響もあり、永久凍土から私たちの前に姿をあらわしたマンモスとの出会い、そして、それらの冷凍標本をきっかけに動き出した「マンモス復活」という夢と生命科学の未来を描き、4人の監修者が皆さんをマンモスの物語を紡ぐ旅へご案内します。

プロローグ : Tales of Mammoth

旅は企画展の展示構成を監修するいとうせいこうさんからのメッセージで始まります。なぜ人類はマンモスに惹かれるのか。世界の研究者たちがその「復活」を研究する中で、私たちが考えるべきこととは。来場者へ語りかけます。

Tales of Mammoth 1 : マンモス、太古の記憶

太古の時代、マンモスはどんな環境で、どのように生き、そしてなぜ絶滅してしまったのか。今から3万年前の地球に生きたマンモスやさまざまな動物たちを紹介しながら、長年にわたる研究から分かってきたマンモスの進化の過程や当時の地球環境について近藤洋一博士がナビゲートします。

Tales of Mammoth 2 : 永久凍土で待つもの

マンモスをめぐる旅は現代へと移り、加藤博己博士がロシア連邦サハ共和国の永久凍土で行われた発掘調査の現場を紹介します。本展最初の見どころである「ケナガマンモスの鼻」や「仔ウマ」など、世界初公開を含む数々の冷凍標本を間近で観察することができます。また、2018 年8月にロシア北東連邦大学北方応用生態研究所(IAEN)と「マンモス展」チームにより実施された合同発掘調査の一部始終を、「マンモス展」チーフ・プロデューサーが日記形式で楽しく紹介します。
近年発掘された貴重な冷凍標本は、体組織が凍ったまま残っており、保存状態の良い細胞サンプルが採取されています。これらの研究は、現代の研究者たちに「マンモス復活」という大きな夢を抱かせることになります。

Tales of Mammoth 3 : その「生命」は蘇るのか

生命の行方をめぐる物語はいよいよ最終章へ。
三谷匡博士が、本展もう一つの見どころである近畿大学の「マンモス復活プロジェクト」を通じて、最先端生命科学の「今」と少し先の「未来」をナビゲートします。
急速に進歩を続ける生命科学の世界。ゲノムを解析・合成し、人工的に細胞をつくり出す「合成生物学」など、生命のさまざまな情報を解読して操作することが可能となりつつあります。1996 年から近畿大学で始まった「マンモス復活プロジェクト」では、マンモスの正体を知る鍵となるマンモスの「細胞核」を採取する上で直面した困難や、今年 3 月にマンモスの細胞核が生命活動の兆候を見せたという発見など最新研究を紹介します。
このような研究の中で得られるいろいろな発見は、絶滅危惧種の保護やマンモスなどの絶滅種の復活の糸口につながるのみならず、医療・食糧・環境など、社会や暮らしのさまざまな分野で役立つことが期待されています。しかし、一方で絶滅種の復活については、倫理的な問題や生態系への影響など、私たちが考えなくてはならない多くの課題があります。日々進歩する科学技術に向き合って、私たちはどのような未来をつくるべきなのか、一人ひとりに問いかけます。

会場風景

スライド 1: 「なぜ人類はマンモスに惹かれるのか」。展示構成を監修するいとうせいこう氏のメッセージから展示がスタート
「なぜ人類はマンモスに惹かれるのか」。展示構成を監修するいとうせいこう氏のメッセージから展示がスタート
スライド 2: Tales of Mammoth 1 マンモス、太古の記憶
Tales of Mammoth 1 マンモス、太古の記憶
スライド 3: ケナガマンモス(模型)
ケナガマンモス(模型)
スライド 4: ケナガマンモスの皮膚と仔ウマ「フジ」(冷凍標本)
ケナガマンモスの皮膚と仔ウマ「フジ」(冷凍標本)
スライド 5: ケナガマンモスの鼻(冷凍標本)
ケナガマンモスの鼻(冷凍標本)
スライド 6: チェラプチンスキーのケナガマンモス
チェラプチンスキーのケナガマンモス
スライド 7: ユカギルマンモス(頭部冷凍標本)
ユカギルマンモス(頭部冷凍標本)
スライド 8: 近畿大学「マンモス復活プロジェクト」
近畿大学「マンモス復活プロジェクト」

基本情報

タイトル
企画展「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか-
会期
2019年6月7日(金)~11月4日(月・休)
開館時間
10:00~17:00
※入場は閉館時間の30分前まで
※11/2,3のみ10:00~19:00
開催場所
日本科学未来館 1階 企画展示ゾーン
休館日
火曜日(ただし、7/23、7/30、8/6、8/13、8/20、8/27、10/22は開館)
主催
日本科学未来館、フジテレビジョン、読売新聞社
特別協賛
家庭教師のトライ
協力
ロシア連邦サハ共和国、サハ共和国科学アカデミー、
ロシア北東連邦大学北方応用生態研究所、近畿大学生物理工学部、
近畿大学先端技術総合研究所、野尻湖ナウマンゾウ博物館
後援
文部科学省、東京臨海高速鉄道、ゆりかもめ、BSフジ
入場料
大人(19歳以上):1800円 (1600円)
中人(小学生~18歳):1400円 (1300円)
小人(4歳~小学生未満):900円 (800円)
チケットの販売所:日本科学未来館(当日券のみ)、プレイガイド(フジテレビダイレクト、チケットぴあ、ローチケ、e+、楽天チケット)
前売券販売期間:2019年3月18日(月)~6月6日(木)(チケットぴあのみでの販売となります)
※( ) 内の料金は前売り、8名以上の団体料金
※常設展もご覧いただけます
※ドームシアターは別料金(要予約)
※3歳以下は無料、障害者手帳をお持ちの方および付き添いの方1名まで無料
※会場の混雑状況により入場整理券の配布、または入場を規制する場合がございます