top_header_0.jpg

logo2.png
linne.png

シリーズ3ヘッダー3_01.jpg

menu3-3_kaisai.pngmenu3-3_kaisai.png
menu03_01_01.pngmenu03_01_01.png
menu03_01_on02.png
menu03_01_03.pngmenu03_01_03.png
menu03_01_04.pngmenu03_01_04.png

シリーズ3ヘッダー3_01.jpg

 

2|「安全を目指す検査の仕組みとは」
道野英司
line_4_558.jpg

(YouTube 0:35:34~1:07:20)

昨年3月以降の検査概況

それでは続いて、実際にどのような検査をしているのか、また4月1日から施行される新基準によって検査がどのように変わっていくのかについて、お話しします。
まずこれまで行なってきた対応ですが、昨年の3月17日に、食品衛生法に基づく食品中の放射性物質に関する暫定規制値を厚生労働省が定めています。以来、今年の3月16日までの時点で12万6,821件の検査がされました。そのうち、暫定規制値を超過した例は1,183件です。 昨年6月ごろまでは放射性ヨウ素の基準に引っかかるものが多かったのですが、それ以降はほとんどが放射性セシウムです。これは半減期の問題で、放射性ヨウ素は半減期が8日間なんです。ですから基本的に現在は、放出された放射性セシウムの降下したものと、それが再分布した状態にあり、それをどういうふうにつかまえていくかという問題になります。実際に暫定規制値を超えた食品が流通してしまった場合は回収しなければなりませんし、出荷前のものについては廃棄をしてもらうことになります。
次に、食品中の放射性物質の検査ですが、現在は原子力災害対策本部で検査計画のガイドラインをつくっています。福島県、宮城県など今までに出荷制限がかかったことがある自治体や、隣接している自治体などで、必ず検査計画をつくって生産している食品の検査をしていただくようお願いしています。検査する品目は、暫定規制値を超えたもの、摂取量が多いもの、それから出荷制限が解除された後の品目などです。もちろん地域によって事情も違うので、地域ごとの生産状況による主要な農産物も含めています。また特に都市部では、出荷されて流通に乗っている食品の検査もお願いしています。
検査対象となっている自治体では、市町村内を、例えばJA単位といった複数の区域に分けて検査をしていただいています。検査の頻度は週1回程度。出荷時期が限定されているもの、周年出荷されてないものについては、出荷直前に検査をしていただきます。それから、その他の限定されていない食品については、定期的に検査をし、検出状況を見て強化をしていくという仕組みになっています。
検査では、ゲルマニウム半導体検出器を用いた核種分析、それから、NaIシンチレーションスペクトロメータなどを利用したスクリーニング検査を行ないます。ゲルマニウム半導体検出器は正確には測れるんですが、供給が追いついていないために整備に時間がかかったり、価格が高めなのでそれなりの設備投資が必要だったりということがあります。一方、NaIシンチレーションスペクトロメータのほうは、感度が高いので測定時間は短くてすむのですが、核種をきちっと分けて測ることはやや苦手な機械なんです。ですのでNaIでのスクリーニング検査と、ゲルマニウムによる精密検査とを組み合わせていきましょうというようなことで進めています。

全量検査でなく、モニタリング検査で対応

次に出荷制限の仕組みについて。もちろん一つ一つの食品を全量検査するという方法もありますが、日本で今、流通している食品はものすごい量にのぼります。そこで現在一つ一つの検査はせず、モニタリング検査を行い、汚染の広がりがあるところについては、その地域からの出荷を制限してしまう手法をとっています。
原則、県を単位としていますが、管理が可能であれば、市町村単位なども認めています。また出荷制限の解除については、一定の要件を設けて、汚染が見られなくなれば解除という仕組みです。各自治体で実施された検査結果については、毎日厚生労働省でホームページに公表しており、なるべくわかりやすい情報提供に努めています。
では去年の12月までのデータを見てください。


全量検査でなく、モニタリング検査で対応1

全量検査でなく、モニタリング検査で対応2

全量検査でなく、モニタリング検査で対応3

やはり3月、4月が非常に高いですが、その後、一般野菜は福島県も福島県以外でも、ほとんどでていません。野生鳥獣肉は、猟期が始まった秋ごろから検査をしたこともあり、秋以降に数字がでています。水産物に関しては、測っている魚も違うので一概には比べられませんが、やはり継続して数字がでています。キノコについても、初めのころはシイタケの発生期で、後半は野生のキノコも含めたデータとして数字がでています。
牛肉は汚染稲わらの問題があり、実際にはおそらくもう少し早くでていたのが6~7月の検査でわかってきました。根菜や果実、種実、豆などは全体には低くなってきています。お茶は、実際に収穫されているのは5~6月ですので、その後、製茶されたものの検査が行われてこのようなデータになっています。
お米は一年一作ですので秋の時点で数字がでています。乳や乳製品はやはり当初高く、その後は地域ごとにある程度影響のあった飼料がどのくらい給与されているかででてきているものです。ただ、飼料についても規制がかかっています。

4月からの新規制値~検査の考え方と体制

以上がこれまで行なってきた対応です。そして、この4月から適用される新基準値に伴って、どのような検査体制で対応していこうとしているのかを、ご説明したいと思います。まず、政府の原子力災害対策本部がつくっているガイドラインの変更点を、大きく6つにまとめたのが次のスライドです。

4月からの新規制値~検査の考え方と体制1


まず初めの3つについて。対象自治体を過去の検査結果を踏まえて、2つのグループに分けています(詳細は後述)。対象食品とその分類については、以前は暫定規制値を超えたものを対象にしていましたが、今度は品目についてグルーピングをして検査をすることにしています。それから、検体数や頻度も具体的に定めています。
後の3つに関しては、例えば各県で四半期ごとに検査結果をつくったら、公表して国に報告を行なうことになりました。今までも報告はしてもらっていたのですが、公表という事項を追加しています。
先ほどの対象自治体の分類ですが、次のスライドを見るとわかるように、基準値の100ベクレル超えの検査結果が出た市町村と、その手前のもの――例えば50ベクレル超えの検査結果が出た市町村については、たくさん検査をしてもらうという考え方で分類されています。 

4月からの新規制値~検査の考え方と体制2


左の3列(福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県)が、過去に2回以上の出荷制限がかかったところ。右の3列(青森県、岩手県、秋田県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)が、1回制限がかかった自治体と隣接の自治体です。17自治体の全体像は変わりませんが、これを2つに分けて、左側の市町村の検査は重点化していこうという考え方です。
個別食品の取り扱いについては、乳と牛肉は飼養管理、つまり汚染された餌を与えないことが大事なので、継続的にチェックをしていく。乳については、農家から乳を集めてくるところ(クーラーステーション)の濃度の状態が、ちょうど皆さんの手元にいく牛乳とほぼ同じ状態になりますので、そこで検査をする。牛肉は、今は4県で出荷制限がかかっているので、全頭検査や全戸検査を行なっていますが、それが行われていないところに関しても、農家ごとに3ヵ月に1回程度検査していく。
海産魚は、福島県と茨城県の北部がかなり影響を受けているので、隣接している県と、それからさらにもう一つ離れたところ、というように類別して検査をします。沿岸魚については棲んでいる場所を細かく分けて、底のほう、真ん中辺り、海面近くというように別々に検査します。
ここまでは総論的なもので、それに対して各品目の特徴に合わせた検査を示しているのが下のスライドです。

4月からの新規制値~検査の考え方と体制3

米について2月の終わりに農林水産省が出した方針は、4つの区域に分けて作付け制限を行うというものです。昨年500ベクレル以上の地域、100~500ベクレルの地域、それ以外、さらに作付けしなかったところに分け、500ベクレルを超えるところは基本的に作付け制限し、100~500ベクレルのところについては管理計画をつくることによって作付けを一部可能にしてはどうか、というものです。

4月からの新規制値~検査の考え方と体制4

管理計画とは、作付けの前にカリウムをたくさん与えたり、土を深く起こして、汚染を希釈するようなことを行なう。そして、収穫時に全袋検査をする。このように対応するのであれば、作付け可能にしましょうというのが農林水産省の考え方だったわけです。今、福島と宮城のほうからは、上のスライドの、右側のような回答が出ており、最終的な方針が決まるのは4月の上旬の予定です。
私のほうで用意した情報は以上です。

道野英司
道野英司
厚生労働省 食品安全部監視安全課 輸入食品安全対策室長
1961年生まれ。前身の厚生省に1986年入省以来、食品の安全管理行政に携わる。放射能漏れ事故後、放射能汚染された食品管理のため、関係省庁、地方自治体とともに食品の放射能検査体制の構築に奔走する。

ページの先頭へ


youtube
YouTube: イベント記録映像(2時間24分)


シリーズ3
after3.11 エネルギー・科学・情報の民主的な選択に向かって