現在〜将来の海外火星探査ミッション


現在進行中のアメリカの火星探査

過去に液体の水があったとされる場所で生命の証拠を探します。
(C)NASA
ミッション名 マーズ・ローバー・ミッション(Mars Exploration Rover Mission)
打ち上げ機関 アメリカ航空宇宙局(NASA) アメリカ航空宇宙局(NASA)
打上日時 MER-A 1号機  2003年6月10日 MER-B 2号機  2003年7月7日
構成 ローバ−(探査車「スピリット(Spirit)」 ローバー(探査車「オポチュニティ(Opportunity)」
搭載機器 双子のマーズ・ローバーは高さ1.5m、幅2.48m、重量130kgで、1997年7月に火星の地表に到着して約3ヵ月間調査を行ったミニローバーのソジャーナー(Sojourner)に比べると、高さと幅は約5倍、重量は12倍以上もある。 マストの上に取付けられたナビゲーション用パノラマカメラと岩石の化学組成や土壌に含まれる鉱物を分析する赤外線放射分光計のほか、マーズ・ローバーにはラット(ネズミ)と呼ばれる岩石の表面を削り取る擦過器、内部の岩石質をクローズアップする拡大鏡およびその化学組成を分析するX線カメラの科学機器が搭載されている。
着陸場所とその選出理由 グセフ・クレーター(Gusev Crater)・・・火星の南緯14.7度、西経184.5度にある地形が複雑に入組んだグセフ・カズマに位置する直径150kmの巨大な衝突クレーター。 エリシウム平原の南端部に位置します。この地域には液体の水が流れ込んだ跡と思われる地形があり、過去の火星が湿潤な時期には湖があった場所で、火星生命の証拠を探す面から、非常に興味深い場所と考えられています。 メリディアニ・プレヌム(Meridiani Planum)・・・南半球の赤道直下の南緯2.2度、西経1.3度に広がる広大な台地。ここには、過去の時期に液体の水が存在したことを示唆する赤鉄鉱が確認されている場所で、生命現象の痕跡の解明に有力な手掛かりが得られるとみられています。
火星到着スケジュール 米国東部時間帯2004年1月3日の夜11:35(日本時間1月4日午後13:35)に火星の大気圏に突入。接地2分前にパラシュートで減速し、6秒前にはロケットを噴射すると同時に、全面に取り付けた自動車のエアバッグのような複数の“風船”をふくらませて衝撃を和らげます。
 着陸船が走行する前に、それぞれローバは最大の高さに立ち上がり、周囲をスキャンして、自身を広げるのに1週間以上を費やします。その後、3ヶ月間の火星調査を行う予定です。
スピリッツがクレータに到着した3週間後の米国東部時間2004年1月25日00:05(日本時間1月25日14:05)、“オポチュニティ”がその反対側に位置するメリディアニ・プレヌムと呼ばれる場所に同様の手法で軟着陸します。
ミッション概要 マーズ・ローバー・ミッションは、火星の異なる場所にローバーを着地させて、過去の時期に存在したと考えられている液体の水と生命活動の痕跡を探査します。このほか、探査する周囲のパノラマ景色や地形の画像の撮影、岩石の化学組成や土壌に含まれる鉱物を分析する。 1997年のマーズ・パスファインダー・ミッションによるミニローバーの探査を補完するミッションでもあります。 両者は全く同じローバで、火星の地質などを探るための様々な装置が搭載されています。
例えば、火星の地表を撮影するためのパノラミックカメラ、鉱物を調べるためのメスバウワー分光計やエックス線スペクトロメータなどです。また、風化した岩石から新鮮な面をとりだすための岩石研磨装置(RAT: Rock Abrasion Tool)、鉄を含む鉱物を集めるための磁石など、火星表層の鉱物組成を考慮した装置が搭載されています。
なお、着陸には、マーズ・パスファインダ計画で利用された、エアバッグを利用した着陸システムがふたたび利用されることになっています。ローバは、1火星日(24.37地球時間)あたり100平方メートル の地域を探査する能力があります。これは、1997年7月から3ヵ月間地表を探査したミニローバ(ソジャーナー)の全面積に相当します。マーズ・ローバの探査は少なくとも、3ヵ月間続けられる予定です。
参考 http://moon.jaxa.jp/ja/mars/world.html#MER
http://www.nasa.gov/home/hqnews/2003/dec/HQ_03387_rover_landing.html
http://athena.cornell.edu/
http://www.planetary.or.jp/2003_mars2003.html





現在進行中のヨーロッパの火星探査

火星の地面を掘り、生命の痕跡の探査に挑む筈でしたが、着陸機からの通信をとらえる事ができず消息を絶ちました。しかし周回機は順調にミッションを進行しています。
(C)ESA
ミッション名 マーズ・エクスプレス・ミッション(Mars Express Mission)
打ち上げ機関 ヨーロッパ宇宙機関(ESA)
打上日時 2003年6月2日
打上場所 カザフスタンのバイコヌール宇宙基地からロシアのソユーズロケットで打ち上げ
構成 オービター(周回機「マーズ・エクスプレス」),ランダー(着陸機「ビーグル2」)

火星到着スケジュール
(GMT:イギリスグリニッジを中心とした世界標準時。JST:日本標準時。)

2003/

12/16 All day Fine targeting of Mars Express to point at the landing site
12/16 終日 着陸地点に適した場所を探す

12/19 06:51 GMT Decision to release Beagle 2
12/19 15:51 JST オービターからビーグル2を切り離して探査を実行するかどうかを決める

12/19 08:11 GMT Eject command sent to Mars Express
12/19 17:11 JST ビーグル2の切り離しコマンドをマーズ・エクスプレスに送る

12/19 10:15 GMT First results of release available
12/19 19:15 JST ビーグル2の切り離しを確認する

12/20 All day Retargeting of Mars Express on an orbital insertion course
12/20 終日 マーズ・エクスプレスの軌道投入コースを修正する

12/23 T.B.D. Update on Mars Express orbital insertion sequence
12/23 未定 マーズ・エクスプレスの軌道投入へむけた一連の順序を更新する

12/24 Night Final decision to steer Mars Express into a Martian orbit
12/25早朝 マーズ・エクスプレスを火星軌道に投入する最終決定をする)

12/25 02:54 GMT Beagle 2 lands on Mars
12/25 11:54 JST ビーグル2が火星に降り立つ (予定)

12/25 03:00 GMT Mars Express orbital insertion
12/25 12:00 JST マーズ・エクスプレス、火星周回軌道投入

12/25 05:15 GMT Mars Odyssey orbiter flies over Beagle 2 - first possible signal retrieval from the lander
12/25 14:15 JST ビーグル2の上空をマーズ・オデッセイ探査機(NASA)が通る −着地したビーグル2からの信号を最初に受けられる機会 (信号受信できず)

12/25 07:00 GMT First evaluation of Mars Express orbital insertion
12/25 16:00 JST マーズ・エクスプレスが実際にどのような火星周回軌道に入ったか、今後の観測計画作成のために評価する

12/25 07:15 GMT Sunset on Mars (18:35 local solar time)
12/25 16:15 JST 火星の現地時間の日没18:35

12/25 20:02 GMT Sunrise on Mars (07:02 local solar time)
12/26 05:02 JST 火星の現地時間の日出07:02

12/25 22:45 GMT Possible direct capture of Beagle 2 signals at Jodrell Bank Observatory (UK)
12/26 07:45 JST ジョーデル・バンク観測所(マンチェスター大学)でビーグル2から直接届く信号を受ける (信号受信できず)

12/26 07:55 GMT Sunset on Mars (18:36 local solar time)
12/26 16:55 JST 火星の現地時間の日没18:36

ミッション目的 【オービター】
(1)火星の地形図を作成(10メートル単位の分解能)
(2) 鉱物の分布図の作成 (100メートル単位の分解能)
(3) 大気の組成の調査
(4) 地表下の構造調査
(5) 大気の循環と惑星間物質の調査
(6) 大気と地表下層の相互関係の解明

【ランダー】
(1)着陸地点の地質、地質の化学特性及び鉱物の分布を測定するためのサンプルの収集
(2) 大気の物理特性や地表の調査
(3) 気象や気候に関するデータ収集
(4)生命の痕跡の探査
ミッション概要 【オービター】
オービターの本体は、1.5×1.8×1.4mの大きさです。
マーズ・エクスプレスは、ヨーロッパとしてははじめての火星探査計画になります。探査機は、周回機と「ビーグル2」と呼ばれる着陸機からなります。周回機は、10m精度での火星地表の写真撮影と、100m精度でのリモート・センシングでの鉱物探査を行います。これにより、火星全球の鉱物組成や大気構造などが明らかにできると期待されています。オービター・ミッションは、1火星年(687地球日)続けられる予定です。

【ランダー(ビーグル2)】 (2003年12月25日 消息を絶つ)
着陸機「ビーグル2」は、この周回機の頭部に取り付けられて、火星まで飛行します。ビーグル(Beagle)の名前は、「種の起源」を著したイギリスが誇る生物学者チャールス・ダーウイン(1809〜1882)の調査船にちなんだものです。ランダーは、オービターが火星軌道に到着する5日前にオービターから切り離され、オービターが火星に到着する直前に大気の中に直接投入されます。投入後、パラシュートが開いてランダーは降下を始めます。火星の約1km上空に達すると、1997年のマーズ・パスファインダーと同じように、膨張した巨大な袋に保護されてランダーは地表に硬着陸します。膨張した袋は静止すると収縮し、中からランダーが現れます。
静止後、浅底のおわん型をしたビーグル2の機体の蓋の留め金が外れて、太陽電池パネルの役目をする四枚の円盤が現れる仕組みになっています。ビーグル2にはロボット・アームが取り付けられており、その先端には「もぐら」と呼ばれる超小型の掘削機が装着されており、これは地表下の物質のサンプルを採取することができます。採取したサンプルは、そのまま着陸船内部にあるガスクロマトグラフィーや顕微鏡、メスバウワー分光計などの様々な装置で解析され、その組成が詳細に調べられることになっています。
参考 http://moon.jaxa.jp/ja/mars/world.html
http://www.beagle2.com/landing/timeline.htm
http://www.beagle2.com/index.htm
http://www.planetary.or.jp/2003_mars2003.html





2005年以降の火星探査ミッション
世界各国が様々な方法で火星を探査します。
ミッション名 打ち上げ予定 開発機関
マーズ・リコナイサンス・オービタ (MRO: Mars Reconnaissance Orbiter) 打ち上げ:2005年8月10日/火星到着:2006年3月 NASA
(C)NASA
火星表面をくまなく「偵察」するための周回衛星です(Reconnaissanceとは「偵察」という意味です)。既に、マーズ・グローバル・サーベイヤが火星表面を細かく写真撮影していますが、このMROでは、それよりさらに解像度が細かい、1m精度でのステレオ写真撮影を行う予定です。その他にも、可視光/近赤外スペクトロメータや、浅い地下の様子を電波で探るサウンディングレーダなど、様々な観測装置が搭載されることになっています。このレーダはイタリア宇宙機関が開発を行います。また、このMROは、将来の火星探査機の電波中継用としても利用される予定です。
MROは2005年8月10日に打ち上げられる予定で、2006年3月には火星へ到着する予定です。その後約2年間(火星での1年間)にわたって観測を行うことが計画されています。 (http://mars.jpl.nasa.gov/missions/future/2005.html
)
 
 
ネットランダー (NetLander) 打ち上げ:2007年 CNES/ESA/NASA
(C)NASA
フランス宇宙機関(CNES)を中心として、ヨーロッパ、アメリカの宇宙研究機関が計画している、火星探査計画です。この計画では、火星の内部構造を調べることに重点が置かれており、その一方で、火星の全球規模の大気循環を調査することも計画されています。この計画では、地震計や磁力計、大気計測などを行うための着陸船を複数台火星に着陸させ、それらを周回機によって「ネットワーク」で結び、火星全体の構造を調べようという計画です。現在のところ、この探査機は2007年に打ち上げられる予定で、マーズ・エクスプレスに続く、ヨーロッパの本格的な火星探査になりそうです。
 
 
2007スカウトミッション (Scout Mission) 打ち上げ:2007年 NASA
この「スカウト」(scout)とは、偵察や斥候といった意味で、低価格、小規模で行える火星ミッションの提案を募り、その中から1つを選定して実施するというスタイルになっています。現在、提案されている4つのミッションは、以下の通りです。
◆サイム (SCIM: Sample Collection for Investigation of Mars)
   「自由帰還軌道」(free-return trajectory)という軌道を利用して、火星からサンプルを持ち帰る計画。
◆アレス (ARES: Aerial Regional-scale Environmental Survey)
  「アレス」とは火星の意味でもありますが、火星の低層大気の化学的な探査を行うためのミッションです。
◆フェニックス (Phoenix)
  水や有機物、そして最近の火星気候を調査するため、その場で観測ができるような装置を火星の高緯度地域に送りこむ計画です。(http://mars.jpl.nasa.gov/missions/future/phoenix.html
◆マーベル (MARVEL: Mars Volatile Emission and Life Scout)
  火星大気の光化学的な性質を火星全体にわたって調べます。それにより、火星の火山活動や水の循環などの解明が期待されます。
これら4つの提案について、NASAは2003年8月に「フェニックス」計画を選定しました。この計画はアリゾナ大学の月・惑星研究所が中心となって計画しているものです。
 
 
スマートランダなど、さらに先に計画されているミッション 打ち上げ:2009年以降 CNES
スマートランダと呼ばれる着陸船、長距離を走ることができるローバなどによる探査が、2009年に計画されています。この2009年の探査では、イタリアが開発中の合成開口レーダによる探査も計画されています。さらにこの先にも、探査が予定されています。2014年及び2016年には、火星からのサンプルリターン探査が計画されています。この計画では、フランス宇宙機関(CNES)の周回機が、マーズ・アセント・ビークル(Mars Ascent Vehicle)と呼ばれるサンプル回収用の探査船からサンプルを受け取り、地球へ持ち帰る計画になっています。
 
 
有人火星探査 NASA
(C)NASA
火星探査は、やはり最後は人間が直接訪れるのが、究極の目標ともいえるでしょう。実際、1989年にはアメリカのブッシュ大統領(当時)が、有人火星探査の検討を開始することを宣言しています。しかし、全体に検討は遅れ気味といえるでしょう。それでも、NASAなどでは有人火星探査についての検討が進められています。今のところ、火星への往復に要する期間などで、3種類のミッションが検討されています。短期間型のミッションでも400〜650日、エネルギー節約型の長期間ミッションでは900〜1000日に及ぶという、これまでにない長期の有人宇宙探査計画になりそうです。問題は、この有人火星探査がいつ実現されるかです。今のところ、NASAの火星探査計画の中にも、明確に有人探査計画があるわけではありません。しかし、全ての状況が整えば、早い時期に実現される可能性はあります。多くの技術者や科学者は、早ければ2020年代には、有人火星探査計画が実現するのではないかと考えています。しかし、そのためには、資金ねん出や長期滞在技術など、克服すべき課題がまだまだ山積みになっています。
 
 
参考: http://moon.jaxa.jp/ja/mars/world.html#MER


(C)2003-2004 NATIONAL MUSEUM OF EMERGING SCIENCE AND INNOVATION