Jury Comments

Jury comments for Movie category and Live Content category

Eiichiro Kokubo

Astronomer

映像部門は、毎回どのような作品が見られるか楽しみにしています。今回は前回よりも長い作品で見応えがありました。審査員それぞれも視点が違っていて、おもしろいし、勉強になります。
ライブコンテンツ部門は、初めての試みで、どのような作品が応募されるのか楽しみでした。twitterデータの可視化はもうひと工夫あるとよかったです。参加型コンテンツは、オンラインでの審査は難しいと感じました。(※ニースより、オンラインにて審査にご参加いただきました)

Koichiro Tsujikawa

Video artist

ライブ部門には、2つの方向性がありました。ツイッターなどから情報を取り出して表現する情報集め系と、その場で動いてインタラクティブ性を出すというもの。前者はtwitterをソースに、ある言葉を集めて地図上にマッピングするという企画が多く、少し偏ってしまったように思います。ソースを何にするのかの部分から、見直しが必要なのではないかと思います。どういうものが可視化できるのか、twitterって何なのか、考えて仮説を立て、そこから何をするのかが大切だと思います。後者は、大きな球体に、直接自分の動きが反映されるのは楽しいですが、まだまだこれからの芸術だと思います。

Tota Hasegawa

Executive Creative Director, Wieden+Kennedy Tokyo

映像部門は、技術的には年々進歩していると感じます。初期のころは平面の映像を球面に張ったような手法が多かったのですが、今回は3D的につくられた表現が多くあると感じました。内容的には、テーマに対して強いコンセプトで答えるものが少なかったように感じました。
ライブコンテンツ部門は、はじめての試みで、テーマの性格上、データヴィジュアライゼーションをした作品が多い中、インタラクティブな仕組みのものの面白さが際立っていました。

Akira Wakita

Artist

映像部門はどれも楽しく拝見しました。ディスプレイが平面から立体にそして球体になっていく未来を見据え、皆さんと一緒に議論していける場があるといいなと心から思いました。また、企画書の時点ではとても魅力を感じたのに、ジオコスモスに投影された実際の映像はそこまで面白くなかったというケースがいくつかありました。企画書の中の手書きやデジタルペイントによる独特な魅力が球面映像化する時点で抜け落ちてしまったという印象です。ツールがクリエータの想像力に追いついていないのか、クリエータがツールを使いこなせていないのか、どちらなのかはわかりませんが、そろそろ球面映像ならではのツールのあり方を検討していくフェイズであることは間違いありません。これは表現においても同じことが言えるでしょう。
ライブコンテンツ部門はまだまだできることが残されており、十分に開拓しきれていないように思いました。自分にできる技術をどう使って作品をつくるかという態度ではなく、むしろ球面だったら何が面白いのかという理想から入り、実現するための技術獲得や人集めをするという態度で向き合えば、この限界を超えていくのだと思います。そういう意味で少し物足りなさを感じました。今回のライブコンテンツ部門の映像は以下の2通りに分類できると思います。一方は身体的なインタラクションのある映像です。ユーザは主観的に作品と関わり、参加するプロセスを楽しみます。もう一方はサーバサイドで処理される映像です。ユーザは客観的に作品を眺め、プロダクトとして映像を楽しみます。それぞれで磨き込むポイントが異なるように思いますので、その辺りを意識してフィニッシングを詰めていけるとよい良い作品になっていくかもしれません。

Jury comments for Idea category

Soichi Ueda

Think the Earth Director / Producer

個性溢れるプレゼンテーションを経て、どのアイディアにも書類審査だけでは見えてこなかった深い考えがあることがわかりました。「雲は風がつくった楽譜」「自分の顔は一生invisible reality」など、私自身がインスパイアされる多くの言葉にも出会うことができました。

Osamu Suzuki

Broadcast writer

作品に取り上げられた「環境」や「家紋」のように、デジタルなものを考えていく足下に、すごくアナログなことがある。僕らが見落としていること、デジタルに向かったアナログを訴えられると突き刺さるものがあり、それはすごく面白いと思いました。アイディア部門にたくさんの作品が集まり、地球を考えたり、家族を考えたり、みんなが考えるきっかけになるといいな、と思います。

Dr. Keiko Takahashi

Director-General Center for Earth Information Science and Technology (CEIST), Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology (JAMSTEC)

いろいろな視点からジオ・コスモス、未来館に期待が寄せられていると思いました。いつもはシミュレーション、物理的な絵をつくる作業を得意としていますが、そこに色々なパフォーマンスが入れば、もっと色々な見方や感じ方を伝えられる可能性があることを勉強しました。皆さんの作品に感服しました。

Novmichi Tosa

Maywa Denki President

バリエーション豊富で、視点がすべて異なる作品が集まったのがすごいと思いました。本審査のプレゼンテーションというのは、かなり難しいものですが、皆さん、とてもうまい!それが驚きでした。本当は足がガクガクなはずなのに。

Mamoru Mohri

Chief Executive Director, Miraikan

一次審査でもじっくりと書類を読んで選考させていただいたのですが、本審査のプレゼンテーションにはまた全く違った印象を覚えました。会場でのパフォーマンスを通して、応募者の方々がこちらの想像よりも、ずっと高いレベルでアイディアを考えていらっしゃったことがわかりました。